ジルデコの新譜『ジルデコ6~Just a Hunch~』を入手したその夜、続けて3回聴いてしまった。
 1回目、ただひたすら気持良い! ヴォーカルchihiRo の声は切なかったり透明だったり妖艶だったりイノセントだったり。万華鏡のように、曲想によってニュアンスを変えながら、耳の奥から心の芯までしみこんでくる。
 これってジャズ? ポップスじゃないし、ロックっていうわけでもないし。
 そう思ってもう1回聴くと、今度は音の厚さに驚かされた。めちゃくちゃ演奏、うまいじゃん! 音楽性が高いっていうのかな、すべての楽器が各々ベストの演奏で役割を果たして、それが絶妙にブレンドされている。ビッグバンド風あり、クラブ系あり、ファンキーなテイストあり。人の手で作られている音だから、クールだけどあったかい。センスが良いから、厚い音でも重くない。
 3回目を聴き終る頃には、すっかりジルデコにハマッていた。
 正式名は『JiLL-Decoy association』(ジル・デコイ・アソシエイション)、ヴォーカルのchihiRoとギターのkubota、ドラムスのtowadaの3人が〈ジャズ/ファンク/ポップス〉をベースにした音楽活動を始めて、12年目になる。

 新譜『ジルデコ6~Just a Hunch~』について、聞いてみた。

chihiRo「6枚目のアルバムだからってわけじゃないけど、テーマは『第六感』です。直感をすごく大事に作っていて、レコーディングもみんなで〝せーの!〟って、メトロノームも使わずに録ることが多かった。〝あ、そうか。レコーディングって目には見えない、耳には聞えないものを記録しておくものなんだな、そこにあるみんなの思いを閉じ込めるものなんだな〟って、すごく感じました」

kubota「ジャズって、いわゆるチンチキチンチキっていわゆるナイトクラブ的なイメージが強いと思いますけど、自分たち世代にとってもっとリアリティのあるジャズをポップに聴かせたいと僕ら思っていて、今回のアルバムはそれをベストな形で実現できたかな」

towada「音楽って〝ウチラはウチラで好きなことやってます〟というアーティスト的な側面と、〝みんなで楽しもうよー〟というエンタテイメント性、両方必要だと思うんです。ジャズをルーツにしていると、前者のほうを大事にしがちだけど、今回はその比率を自分たちが納得のいく形で実現できました」

 ・・・・・なんかね、3人3様、それぞれ味のあること言ってくれます。
 明日からひとりずつ、クローズアップするよ!

『ジルデコ6〜Just a Hunch』

2014年10月22日発売
発売元 : VICTOR ENTERTAINMENT
仕様 / 品番 / 価格
<初回生産限定盤CD+ライブDVD > VIZL-732 / ¥3,400+消費税
<通常盤CD >VICL-64237 / ¥2,900+消費税
http://www.jilldecoy.com/disco/3476

  • 出演:JiLL-Decoy association ジルデコイ・アソシエーション 通称ジルデコ

    2002年に結成された、ヴォーカルchihiRo、ギターkubota、ドラムtowadaの3人で構成されるユニット。ジャズ/ポップス/ロックをベースに、クオリティの高いオリジナルな世界を構築している。高い演奏力を誇り、ライブやジャズフェスには多くのファンが集結。5枚目のアルバム『ジルデコ5』は第55回日本レコード大賞の優秀アルバム賞を受賞した。

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/