昨日まで3日連続の『スリル・ミー』出演者対談、いかがでした?
 「彼」と「私」を演じるふたりの語らいには、それぞれのペアの特色がはっきり&くっきり。ひとりひとりの舞台に賭ける思いが本番の舞台でどう花開くのか、楽しみになってきた。
 せっかく3回も通ったので、今回はYEO目線で、稽古場の雰囲気をお伝えしよう!

その1 伴奏のピアノがすごい!

 100分間、ふたりの会話と歌だけで展開するこのスリリングな舞台、伴奏のピアノは大きな役割を果たしている。もちろん稽古場でも、大活躍。ピアニストが常にそこにいて、生の音で稽古を重ねているのだ。
舞台上で「彼」と「私」が台詞のやりとりをしながら、ああでもない、こうでもないと模索するのを、ピアノはずっと待っている。いざ稽古が再開すると、即座に必要な音を奏でて、ふたりをサポート。すごい! この舞台、「彼」と「私」だけじゃなく、ピアノも3人目の登場人物なのだ。

その2 スタッフもすごい!

 今回が初参加の人も、何回も出演している人も、稽古中は台詞につっかえたり、動きを忘れていたりすることが多い。そんなとき、すぐに担当者が飛んできて、教えてくれる。舞台の流れを完全に頭に入れているスタッフがついているので、稽古はとてもスムーズに進行するのだ。さらに伊礼彼方さんが、こんなことを言っていた。

「この作品、スタッフさんがみんな柔軟なんです。ふつうは外国のミュージカル作品を日本で公演するとき、歌詞が英語から日本語に変るので、譜割りが難しいんですよ。日本語っぽく聞えなかったり、意味がとりにくくなることが多い。でも『スリル・ミー』では、日本語に合わせて調整しながら歌うよう、スタッフさんの方からアドバイスしてくれるんです。それができるから、個々の俳優が持っている感情だったりニュアンスっていうのを注入することができるんですね」

 田代万里生さんも、まったく同じ意見。

「スタッフ全員が演劇畑の人が多いから、THEミュージカルではなくて、THE演劇っていうテイストも濃い。だから舞台が面白くなるんじゃないでしょうか」

その3 関係者以外立ち入り禁止!

 インタビューのとき、どのペアに聞いても、答えの返ってこない質問があった。それは〝自分たちペアの特徴は、どこにあると思う?〟というもの。みんな口を揃えて「他の人達の稽古見てないから、わからないですよ」と言うのだ。

 この舞台、出演者が他の人達の稽古を見ることは、ある程度作り上げるまで禁止。同じ台本を手に、それぞれが自分の役を向かい合って、自分たちだけの舞台を作り上げるしかないのだ。他の「私」は、どんな演技を見せているのか、他の「彼」は、どう演じているのか、ライバル意識はきっと、あるはずだけど・・・・。どのペアが、いったいどんな舞台を見せてくれるのか、それぞれどんな魅力があるのか、知ることができるのは、観客だけ。これはやっぱり、チケットを買って、見に行くしかないかも!

  • ミュージカル『スリル・ミー』

    11月7日(金)~24日(月・祝)天王洲 銀河劇場
    ホリプロチケットセンター 03-3490-4949
    http://hpot.jp/stage/tmjp2014
    11月29日(土) 大阪 サンケイホールブリーゼ
    ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888
    http://www.sankeihallbreeze.com/list/drama/2014/06/post-425.html

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/