『スリル・ミー』の日本初公演から「彼」役で出演を続けている柿澤勇人さんと、今回が初参加、しかも歌舞伎界からの挑戦ということで注目の的となっている「私」役の尾上松也さん。実はこのふたり、もともと〝縁〟があるようで・・・・。

柿澤 初めて一緒に仕事をしたのは去年の舞台『ロミオ&ジュリエット』だったんですけど、実はその前から縁があるんだよね。

松也 カッキーの従兄弟の清元一太夫クンと僕は若い頃から一緒に舞台を踏んでいましたし、僕がたまたま劇団四季の舞台を観たとき、ちょうどカッキーが主役を演じていたんだよね。その時はまさか、一緒に舞台に立つ日が来るとは思っていなかったけど。

柿澤 詳しく説明すると、僕のひいおじいちゃん(清元志寿太夫さん)が浄瑠璃の語り手で、おじいちゃん(清元榮三郎さん)が三味線奏者、もちろん父もその世界の人間なので、歌舞伎はとても近くにあるんですよ。だからこの4~5年で松也と急接近してるのは、会うべくして会った、という気がしてる。

松也 カッキーは、ふだんはどっちかっていうとクールで、いわゆる二枚目タイプ。本人は意識してないと思うけど。僕もそうだけど、そんなに社交が得意ではないと思う。

柿澤 えー、松也めっちゃ社交的やん!

松也 実はそうでもないんだよ、ほんと、人見知りだし。
 芝居に関しては、カッキーの歌声の力強さと響きというのは、うらやましいくらい素晴しい。それは、本人は清元とかやってないけど、DNAだなって僕は感じてる。おじいさまとかお父様もすごく良い声をしてるので、本当にサラブレッドというか。それに、すごいと思うのは筋肉だね。着替えるとき〝あ、こいつ、見せてるな〟って思う。ちょいちょい脱いでるし(笑)。だから劇中で体に触るときも、筋肉あるからパワーがハンパない。

柿澤 僕から見ると松也って、わりと対極にいるのかなって。僕は子どもの頃「清元をやるか?」って打診されたとき、すぐ断ったんです。伝統芸能だけじゃなく、映画も舞台もドラマもまったく興味なかったから。ひたすら外で遊んでた。でも松也は5歳から舞台に立って、大人の世界で揉まれてきているわけで。それと、うらやましいのは、誰とでも仲良くなれちゃうんですよね。人見知りなんて嘘ですよ。面白いことを言って場を盛り上げて、ムードメーカーになってくれる。共演したときすごく助けられました。

YEO このペアに対するファンの期待は大きいですね!

松也 怖い物見たさ、じゃないのかな。プレ・イベントで出演者発表のとき、僕が出ていくとなんか、悲鳴と歓声が入り交じっていて(笑)、まさか、歌舞伎界から参戦するとは、誰も思っていなかったと思う。僕はミュージカルに出るのはこれが3本目だし、この世界では新人ですから、ミュージカルという表現にしっかり対応しながら、役を作っていきたいです。それに、「私」を演じるほうが身長が高いのは、僕たちだけだよね。体が大きいほうが相手に振り回されるっていう形も、逆に面白いんじゃないかと。

柿澤 そうだね。この作品はどんな俳優がどう演じても、正解なんて見つからない作品だと思うので、僕自身も模索しながらやるしかない。5回目とはいえ、慣れというのは怖いですし、惰性でやる作品でもないので、1回1回が勝負だなって思ってます。

松也 先輩のカッキーに教えてもらいながら、頑張ります!

  • 出演

    尾上松也(二代目)

    1985年生まれ。父は六代目尾上松助。歌舞伎界では今最も注目される若手実力派俳優だ。12月は歌舞伎座公演、来年1月には浅草歌舞伎公演に出演予定。

    柿澤勇人

    1987年生まれ。劇団四季を経て舞台・ドラマで活躍中。2015年4月『デスノート The Musical』(東京・日生劇場)の夜神月役で出演予定。

    ミュージカル『スリル・ミー』

    11月7日(金)~24日(月・祝)天王洲 銀河劇場
    ホリプロチケットセンター 03-3490-4949
    http://hpot.jp/stage/tmjp2014
    11月29日(土) 大阪 サンケイホールブリーゼ
    ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888
    http://www.sankeihallbreeze.com/list/drama/2014/06/post-425.html

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/