「社会的弱者や女性をメインに 作品を作っていきたい」ブ・ジヨン監督
第19回釜山国際映画祭Part2
- Magazine ID: 1770
- Posted: 2014.10.30

今年下半期、最高の期待作と呼び声が高い『カート』。大型スーパーマーケットを舞台に、不当解雇と闘う契約社員たちを描く作品だ。
韓国には〝88万ウォン世代〟と呼ばれる層が存在する。不景気の影響で、大学を卒業しても正規の就職が難しかった世代だ。20代後半から30代後半の彼らの多くは契約社員として働かざるを得ず、月収はわずか88万ウォン(7~8万円)前後。その上、いつ首を切られるかわからないという、不安の中で生きている。作品では社会的弱者である彼らが団結し、明日に向って闘う姿が描かれるという…。
ってなにかこれ、他人事じゃないよね? 程度の差こそあれ、日本にも同じような状況にウツウツとしている人はたくさんいる。
「一般の労働者や弱者、そして女性をテーマにした作品を作っていきたいと思っています。そういう人でも、集って何かすれば、力が生まれる。そういうメッセージを送りたいんです。厳しい現実があっても、なんとかしてそれを乗り越える。そんな物語が好きなんです」
しかもこの作品、一般大衆から制作資金を集める〝クラウド・ファンディング〟方式で作られた。エンタテイメントだけじゃない、弱者のための、社会に根付いた作品になりそうだ。これもまた、韓国映画界の新しい潮流なのかもしれない。
しかもその上、韓国を代表する熟年ベテラン女優を揃えてスーパーマーケットのレジ係軍団を作ったり、アイドルグループからイケメンアイドルを起用したりと、サービス精神もたっぷり。メジャーデビューとなるこの作品には、ブ・ジヨン監督のすべてが結集されているのだろう。
「私の夫が韓国で一番有名な撮影監督で、この『カート』も、彼が撮ってくれたんですよ」
そう言ったときだけ、ちょっと自慢げな顔をした。頭の回転が速そうで、いつもなにか面白そうなことを探しているのか、くるくるとよく動く瞳が、実にチャーミング。女であることを武器にせず、女にしかできないことをさらっとやってのける、彼女はきっと、そういう女性だ。
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取材/文:岡本麻佑
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://www.haginiwa.com/