韓国の女優さんは、美人が多い。透き通った白い肌に絹糸のような黒髪、そして魅惑のまなざし。細身で華奢で、女子度も高い。まっ、女優だから当たり前かもしれないけれど、正直言って、慣れないうちは見分けがつかない。美女だらけなんだもん。
 YEOが呆然としていたそんな時、向こうから声をかけてきてくれる美女がいた。

「こんにちわー。またお目にかかりましたね-」

 昨年の釜山映画祭取材でインタビューした、イ・ウヌさんだ。今年は日本からの出品作『さよなら歌舞伎町』の出演者として参加しているという。というわけで、今年もよろしく!

「こちらこそ、よろしくお願いします(笑)。日本の映画に出るのは今回が初めてでしたけど、廣木隆一監督はじめスタッフの人達がみんな親切だったので、日本には良い印象を持ちました。廣木監督のことは、お名前は知っていましたけど作品を観たことがなかったので、出演することが決まってから韓国で入手できるDVDを探しまくって全部見たんですよ。作品のテーマを確実に引き出す能力のある監督ですね。安心して演技することができました」

『さよなら歌舞伎町』で彼女が演じたのは、韓国人留学生の役。

「留学生だけど、お金を稼ぐためにデリヘル嬢をやっている女の子の役です」

 ていねいに言葉を選んで、落ち着きのある話し方をする人だ。人物評も的確だし、キャピキャピしてない。年齢を聞いてもいいですか?

「80年生まれですから、今年で34歳です」

 えー? 若い! 清楚で知的で、お嬢様学校を出たばかり、と言っても通用しそうなルックスなのに。でもそういえば昨年、イ・ウヌさんはキム・ギドク監督の超話題作『メビウス』でヒロインを熱演。夫の浮気に逆上し、なぜか息子の性器を切断してしまう狂気の母を演じ、あわせて夫の愛人役まで演じるという離れ業を見せてくれたのだった。

 なんか、過激な役が続いてますけど、ひょっとしてチャレンジャーですか?

「違います!(笑)もちろん出演するときはシナリオを読んでから決めますし、オファーを断ることもできるのですが、たまたま、私が演じてきた役は強烈なキャラクターが多かったんです。偶然、というより、むしろこれは運命だと思っています」

 イ・ウヌを襲った運命とは? 韓国ドラマ風に盛り上げたところで、明日に続く!

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/