YEOイチオシの実力派女優チョン・ウヒさんの次回作は、今回釜山国際映画祭に出品された『カート』。大手スーパーマーケットの契約社員たちが不当解雇に対抗する、社会派エンタテイメントだ。チョン・ウヒさんが演じるのは、レジ係のミジン。〝言いたいことは言わせてもらう!〟という、強気キャラの女の子だ。

「久しぶりに普通の女の子の役というか、自分と等身大の女性を演じることができて、うれしかったです。役作りは、ふだんから特別なことは何もしません。ただひたすら、役について考える、それだけです。道を歩いていても、何か思いつくとメモをして・・・・、だからずうっと考えている、ということになりますね(笑)」

 そして現在、釜山で撮影中なのが『谷城(コクソン)』。来年上半期に公開予定の、話題作だ。一体どんな映画なのか、脚本を読んだ映画関係者に聞いてみたところ、「今までの韓国映画にはなかった、不思議な世界観の映画。ホラーでありスリラーでもあり、とにかく怖い! すごく怖い!」映画らしい。そして演じる役名は?と聞くと、小さな声で「ひみつ・・・・」う〜ん、上映が待ち遠しい。

「今まで出演したことのないジャンルだし、役柄ですし、だからとても演じ甲斐があります。あ、日本人俳優の國村隼さんも出演されるんですよ! 外国の俳優さんとご一緒するのは初めてなので、すごく楽しみです」

 彼女と話していると、なんだかとても、気持ち良い。クールでクレバー、今までの韓国女優さんには、いなかったタイプじゃないかな。

「私は女優ですけど、ふだんの生活では、ふつうの人間でいたいです。でもひとたび演技するとなったら、作品の中でキラキラ輝いていたい。水のように、コップでも海でも滝でも、容れ物に合わせて形を変えていけるような、そんな演技者になりたいですね。同時に、自分の個人的な生活も諦めないで、人生を生きていくつもりです。恋も結婚もなんでもしたい。何よりもまず、ふつうの生活をする、ふつうの人間でありたいです」

  • 取材/文:岡本麻佑

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/