「ヒロインで謎の女性を演じました。以前は自分が出演した作品を観るのが嫌だったんです。観ても後悔する事ばかりで。『やっぱり全然できてないって』。今回『TOKYO TRIBE』ではいろいろな事に挑戦させていただきました。アクションもかなり追い込んでやったし、肌の露出も多くて、自分の殻を破った感じがしたんです。余裕がなかった自分を顧みる間もなくて、全力でぶつかったのが自信につながりました。自分はここまで出来るんだっていう、いい意味で限界を知ることができたのも大きかったです」

 彼女が売れる理由その6、目の前のチャンスを見逃さない。そしてリスクを恐れずチャンスをつかみに行く行動力と勇気を持っている。『TOKYO TRIBE』のスンミ役は派手なアクション・シーンだけでなく裸のシーンもある。あらゆる意味で体当たり演技を要求される役どころだ。

「怖い監督だっていうのはさんざん聞かされていたので、『おはようございます』って言うのさえ自分の中で葛藤があったほどでした(笑)。それですごく構えていたんですけど、怒鳴られるようなことはあまりありませんでした。アクション・シーンで失敗した時も怒られるかなって思ったら『大丈夫?』って優しい言葉をかけられて、実はメッチャいい人なんだって印象が変わりました。その後も自分が落ちてるときとかに話しかけてくれて。ただ、撮影後半にキャストのみんなも現場に慣れてきて、自分もちょっと緩んだ感じになった時があったんです。その時にみんなの前で『清野、お前そんなんじゃ将来ねえからな!』って怒られました。でも怖いというのはなくて、ちゃんと自分のことを思って言ってくれてるんだって感じられました。私を通して現場全体に伝えているようにも感じられました。ちゃんと意味があって怒っているんですね」

 売れる理由その7、監督をほめるのが上手い。これ結構大切。

  • 出演:清野菜名

    1994年10月14日生まれ、愛知県出身。映画『TOKYO TRIBE』スンミ役に抜擢され一躍注目される。今後の公開予定は、映画『少女は世界で戦った』(監督:金子修介)マリ役。映画『進撃の巨人』(監督:樋口真嗣)。テレビ『素敵な選TAXI』(フジテレビ系)など。

    オフィシャル・ブログ http://ameblo.jp/seeeno7/

  • 取材/文:横田一郎

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/