ビーチバレーは現在、シーズン真っただ中。3月からペアを組んだという浦田・永田選手は、試合をしながらチームとしての精度を上げつつあるようです。それでは浦田選手、2014年の目標は?

「国内では、もちろん優勝を目指します。あとはワールドツアーですね。来年に繋がるようにポイントを貯めたいので、海外でも出られる試合はどんどん行きます。来年のアジアサーキットに日本から出られるのは2チーム。ポイント上位から行ける資格があるので、今年の試合でポイントを稼ぎたい!」

 海外の試合に出るかどうかで、ポイントは大いに変わってきます。現在トップの西堀健実・溝江明香ペアは、海外遠征が多いこともあってポイントを大きく稼ぎ、独走状態です。その後を追うためには、海外での試合を増やさなければなりません。

 今年、海外遠征に向けて浦田選手は新しい試みとしてクラウド・ファウンディングで遠征資金を募りました。応援している人たちと「一緒にリオを目指そう」という呼びかけのもと、50万円の目標額を達成。集まったお金が10月からのワールドツアーの資金の一部となります。

「やっぱりオリンピックを目指して欲しい、と言われます。そのためには資金だけでなくさまざまなハードルをクリアしなければなりません。前回、永田は初めてのワールドツアーでした。でも負けて悔しがっていたので、経験を積んで、ふたりで勝ちたい。勝たなきゃいけないんですよね、絶対」

 ブラジル、アメリカ、イタリア、ドイツといったビーチバレーの強豪国に比べて、日本はまだまだ体制が整っていないというのが実状。アスリートたちは自分たちの力で世界に出て行かなければなりません。

「私もあと何年かしかプレイできないし、引退した後には何らかの形でビーチバレーに携わる仕事をしたいと考えています。以前から、永田には東京オリンピックを目指してほしいと思っていたんです。それだけの力がある選手なんですよ。私と組むことでリオを目指して、その先誰かと組んで東京オリンピックに出てくれたらいいな、と考えています」

 アスリートとして試合を戦うなかで、日本のビーチバレー界のあり方を考え、自身の将来だけでなくパートナーの競技人生まで考え尽くす浦田選手。まっすぐに、ときにはがむしゃらに進んできた自分を「古いんですかね」と苦笑していましたが、まだ30代。後進の育成も大切ですが、浦田選手ご自身の活躍を期待しています!

  • 浦田景子

    福岡県出身。1977年生まれ。
    九州女子高を経てタイガー魔法瓶に入団、1998年に退団。その後、4人制の大会出場をきっかけに2人制のビーチバレーを知る。遊びの感覚でビーチバレーをはじめるも、福岡県代表として日本選手権に出場。2000年にバレーボールからビーチバレーに転向を決意する。プロの世界を目指すために、多くの選手にとってのビーチバレーの拠点である神奈川県に福岡県から移住。
    2012年、浅尾美和とペアを組みメディア、雑誌、ラジオを通じ多くの注目を集め ビーチバレーの魅力を全国に広めビーチバレー界に大きく貢献。2012年に行われたJBVアワードでは総合3位で表彰される。
    2013年は、川崎市長杯準優勝。東京国民体育大会で優勝を勝ち取り、インドネシアで開催されたアジアサーキットでは3位入賞を果たす。
    2014年、お台場大会2位、淡路大会3位、藤沢大会2位、ジャパンレディース3位。 11月に行われるアジアンビーチゲームズでは日本代表として出場する。

  • 取材 / 文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
    https://www.facebook.com/mi.company

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/