ビーチバレーのパートナー探しは、オフシーズンに行なわれます。さまざまな理由から、継続してペアを組むチームはほとんどなく、毎年のように選手たちはパートナー探しに奔走するそうです。

 パートナー探しの手順は、まさに恋愛の駆け引きのよう。

「私がパートナーを選ぶ基準は、目指すところが同じ人……世界で戦いたいという気持ちがある人。そして、練習環境、スポンサー、人間性ももちろん見ます。なんか面接官みたいですね(笑)」

  2013年のシーズンオフ、浦田選手は何人かの選手の中で誰にするか悩んでいました。現在ペアを組んでいる永田唯選手は、将来性があり、一緒に世界へ挑戦することで東京オリンピックにつなげられる選手。

「私が声をかければ何かが変わって、やる気を出してくれるのではと思ったんです。事実、私と組みたいという意思表示はありました。でも、福岡と神奈川の遠距離。そのときはまだ、ほかの人にも声をかけている状況でしたし、かなり悩みました」

 最終的に浦田選手は、永田選手の将来性、世界と戦える高さと攻撃力を選びました。永田選手が福岡在住であるにもかかわらず。

 浦田・永田ペアの今シーズンの成績は2位、3位、2位という好成績を残しています。

 しかし、ビーチバレーのランキングはポイント制になっており、選手ひとり一人にポイントが付与されます。そして、二人のポイントの合算で順位が決まるのです。つまり、今年どんなに勝ち続けてポイントを獲得しても、翌年パートナーが変わって相手のポイントがなければ順位が下がってしまう。そのためにも、今年勝つことで来年につなげたいと浦田選手は考えています。

「勝つことで永田選手も変わるのではないかと楽しみにしているんです。きっと、どこかですごく化けるはず」

 日本人離れした打点の高さで、しかもサウスポー。永田選手が世界の舞台で活躍する日を楽しみにしたいですね。

 ところで、ビーチバレーの話が尽きない浦田選手ですが、彼女の生活は果たしてビーチバレー一色なのでしょうか。

  • 浦田景子

    福岡県出身。1977年生まれ。
    九州女子高を経てタイガー魔法瓶に入団、1998年に退団。その後、4人制の大会出場をきっかけに2人制のビーチバレーを知る。遊びの感覚でビーチバレーをはじめるも、福岡県代表として日本選手権に出場。2000年にバレーボールからビーチバレーに転向を決意する。プロの世界を目指すために、多くの選手にとってのビーチバレーの拠点である神奈川県に福岡県から移住。
    2012年、浅尾美和とペアを組みメディア、雑誌、ラジオを通じ多くの注目を集め ビーチバレーの魅力を全国に広めビーチバレー界に大きく貢献。2012年に行われたJBVアワードでは総合3位で表彰される。
    2013年は、川崎市長杯準優勝。東京国民体育大会で優勝を勝ち取り、インドネシアで開催されたアジアサーキットでは3位入賞を果たす。
    2014年、お台場大会2位、淡路大会3位、藤沢大会2位、ジャパンレディース3位。 11月に行われるアジアンビーチゲームズでは日本代表として出場する。

  • 取材 / 文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
    https://www.facebook.com/mi.company

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/