#2 砂をつかみ、風を見方に
浦田景子
- Magazine ID: 1641
- Posted: 2014.09.09
もともとインドアの選手としてタイガー魔法瓶に所属していた浦田選手。あるとき、ほんの遊びで4人制ビーチバレーの試合に出場したときに声をかけられ、2人制に誘われたそうです。ちなみに4人制ビーチバレーは、男女混合チームで戦います。
そのとき初めて2人制ビーチバレーを知った浦田選手ですが、いきなり福岡県代表として参加。その結果は……。
「ボコボコにやられて負けました。インドアをやっていたので甘い気持ちで参加したら、自分よりも小柄で細身で、年上の選手相手に何もできなかったんですよ! めちゃめちゃ悔しかったです」
まさにスポーツマン魂に火がついた瞬間です。
「試合後、対戦相手に『どこに行ったら上手くなれますか?』と聞きにいったら、神奈川が拠点だということなので、すぐに引っ越しました」
負けた相手に聞きにいくというまっすぐな姿勢こそ、浦田選手のアスリートとしての資質なのでしょう。そうして神奈川に住み始め、最初は週末プレイヤーで試合に出ていたものの飽き足らなくなり、次第にビーチバレーだけに専念したいと考えるようになった浦田選手。やがて、菅山かおる選手に誘われてペアを組むことになり、チームWINDSに所属。
「ビーチバレーを始めた頃は、まったく飛べなかったし、砂浜の走り方さえわかりませんでした。続けていくうちに、足の指もすごく動くようになって、足で砂をつかむことができるようになりました」
ジャンプをするときには、なるべく砂の底をしっかり踏んで飛ぶ。もはや超人ワザの世界ですね。
砂とともにビーチバレーにつきものなのは、風。試合中ずっと同じ風が吹くことはなく、ときには止まったり、逆から吹いたり。風向きによって試合の行方が大きく変わることもあるそうです。
「たとえば背が高くて攻撃力のある外国人選手との対戦でも風があることで相手を崩す戦略が立てられる。そこがビーチバレーのおもしろいところです」
風を味方につけた方が勝つ。そのためには毎日風の中で練習することで、風に対する対策を見つけ、自分の中に蓄積していく。そこから戦術が生まれるのです。
「ビーチバレーは、頭が痛くなるほど頭を使わないと勝てないスポーツなんです。21点の2セットを取るまでに、どれだけ相手の癖を見つけ、仕掛けていくか、というのもビーチバレーの醍醐味、かな」
さて、2014シーズンは12歳下の永田唯選手とペアを組んでいる浦田選手ですが、ビーチバレーのペアって、どうやって決めるんでしょう?
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浦田景子
福岡県出身。1977年生まれ。
九州女子高を経てタイガー魔法瓶に入団、1998年に退団。その後、4人制の大会出場をきっかけに2人制のビーチバレーを知る。遊びの感覚でビーチバレーをはじめるも、福岡県代表として日本選手権に出場。2000年にバレーボールからビーチバレーに転向を決意する。プロの世界を目指すために、多くの選手にとってのビーチバレーの拠点である神奈川県に福岡県から移住。
2012年、浅尾美和とペアを組みメディア、雑誌、ラジオを通じ多くの注目を集め ビーチバレーの魅力を全国に広めビーチバレー界に大きく貢献。2012年に行われたJBVアワードでは総合3位で表彰される。
2013年は、川崎市長杯準優勝。東京国民体育大会で優勝を勝ち取り、インドネシアで開催されたアジアサーキットでは3位入賞を果たす。
2014年、お台場大会2位、淡路大会3位、藤沢大会2位、ジャパンレディース3位。 11月に行われるアジアンビーチゲームズでは日本代表として出場する。 -
取材 / 文:加藤いづみ
コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
https://www.facebook.com/mi.company -
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://www.haginiwa.com/