「アンコ椿は恋の花」も!
南里沙
- Magazine ID: 1607
- Posted: 2013.07.11

「一列に16個の穴が開いていて口をすぼめて吹くんです。最初はどうしても隣の穴も吹いてしまって音が濁ってしまいます。まず一つの音を正確に出すこと、穴の移動を正確にする練習から始めます。でも『練習』っていうと堅苦しくて強制的な感じがしますけど『遊ぶ』って考えると楽しい。ハーモニカで遊ぶんだと思って欲しい。好きな曲を選んでその一曲を仕上げる事を目標にするのがいいと思います。上達の速さは人にもよりますけど、だいたい3カ月もあれば1曲吹けるようになります。まず楽器と友達になるのが一番だと思います」
彼女のライブではポップス、ジャズ、クラシックだけでなく、アルゼンチン・タンゴ、童謡、演歌までを演奏。曲の合間に「アンコ椿は恋の花」などを無伴奏でさらっと吹いてくれたりするのだが、これがまた鳥肌ものだったりする。
この楽器自体ジャンルにとらわれない、どんな曲でもしっくりきちゃう魅力がある。しかも何とも懐かしく甘酸っぱい音色がたまらないのだ。
第一印象で感じた違和感はもう微塵もなくなった。彼女はお嬢様風のワンピースで吹いていたりするが、例えばこれがゴージャスなドレスでも、セクシーなスリット入りチャイナドレスでも、ジーンズにTシャツに革ジャンでも、祭り半纏にねじり鉢巻き姿でもしっくりきちゃうんじゃないだろうか。
「ピアノやオーボエを演奏していた時と違うのは、聴いてくれる人が全員楽しんでくれるということを実感できることなんです。幼稚園の子供は踊ってくれる。おじいいちゃんおばあちゃんは涙を流してくれる。聴いて下さる方の顔を見ていると、この楽器に出会うためにピアノとオーボエをやってきたのかなって思えるんです」
『運命』とか『楽器の神様が』とかいう陳腐な表現は大嫌いなのだが、ハーモニカが南里沙を選んだように思えてならない。
というわけで、彼女でデビュー・アルバムがいよいよ発売。これがいいんだ、とっても。

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出演:南 里沙
1987年4月9日生まれ。神戸女学院大学音楽学部音楽学科オーボエ専攻卒業。大学在学中にクロマチック・ハーモニカに出会い、徳永延生氏に師事。2009年、F.I.H.ドイツ世界大会オーブンカテゴリー準優勝。2010年、第30回F.I.H.日本ハーモニカコンクール3部門にて優勝。ジャズ・ポップス部門において、同大会の総合グランプリ受賞。第8回アジア太平洋ハーモニカ大会クロマチックソロオープンにて優勝。2011年、中国・上海音楽庁で演奏、またいずみホールにてウクライナ国立キエフ交響楽団と共演。2012年、ウクライナにてISNO新交響楽団と共演。
メジャーデビュー“Mint Tea”ツアーは7月16日東京・六本木STB、18日大阪・難波Flamingo the Arusha、“Mint Tea”スペシャルコンサートは26日名古屋・名駅Rosenstrauss
詳しくは南里沙オフィシャルサイト http://southrachel.p1.weblife.me/
スタイリスト:白山美由紀
取材・文:横田一郎
衣装協力:ZURI
撮影:萩庭桂太