「ハーモニカ」と「女子」。なんだか妙な組み合わせである。

 しかもそこに「超絶テクニック」とか「アイドル並みにカワイイ」などというキーワードも追加される。とりあえずこの四つの要素を兼ね備えた女の子が南里沙というアーティストなのである。

 聞けば父親はサラリーマン、母親は専業主婦というごく普通の家庭に一人っ子として育ったんだという。兵庫県宝塚市出身。

「小学生の頃から両親に連れられてオーケストラを聞きに行っていたんです。その時オーボエの音色に魅せられてしまいました。多くの楽器がある中でオーボエの音だけがポーンと飛んでくるのがすごく好きでした。どこか寂しげで哀愁を帯びた甘くて丸みのある音。それで中学生になってからオーケストラ部に入ってオーボエを始めました」

 クラシックを聴いて育ち、当然のようにオーボエ奏者を目指し音楽大学に進学。普通の家庭とは言いつつ、そこそこなお嬢様なのかもしれない。そして大学3年生の時突然ハーモニカと出会ってしまう。

「オーボエのリード(吹く部分の音を出す竹のパーツ)の削り方をネットで検索していたらハーモニカのリードの削り方にたどり着いてしまったんです。そのホームページのトップからクロマチック・ハーモニカの音が聞こえてきました。自分が想像していた音色とのギャップに衝撃と驚きを感じて、すぐやってみたいと思ってしまったんです」

 そこからの行動力が凄い。お金を握りしめすぐさまネットで見つけたクロマチック・ハーモニカの先生のところまで飛んで行った。上、中、下、3種類のクロマチック・ハーモニカを先生から見せられて、「最初は安いのから始めれば」というアドバイスを無視して一番高い黒のハーモニカを購入。このへんがただのお嬢様ではない。

「オーボエが黒いので、楽器は黒っていうイメージがあったから黒を選びました。正直もっと高い楽器だと思っていたので一番安いシルバーのものはすごく安く感じたんです」

 いきなりプロユースの楽器を選択。でもってここからの展開がまた面白いというかすごいのだ。

  • 出演:南 里沙

    1987年4月9日生まれ。神戸女学院大学音楽学部音楽学科オーボエ専攻卒業。大学在学中にクロマチック・ハーモニカに出会い、徳永延生氏に師事。2009年、F.I.H.ドイツ世界大会オーブンカテゴリー準優勝。2010年、第30回F.I.H.日本ハーモニカコンクール3部門にて優勝。ジャズ・ポップス部門において、同大会の総合グランプリ受賞。第8回アジア太平洋ハーモニカ大会クロマチックソロオープンにて優勝。2011年、中国・上海音楽庁で演奏、またいずみホールにてウクライナ国立キエフ交響楽団と共演。2012年、ウクライナにてISNO新交響楽団と共演。

    メジャーデビュー“Mint Tea”ツアーは7月16日東京・六本木STB、18日大阪・難波Flamingo the Arusha、“Mint Tea”スペシャルコンサートは26日名古屋・名駅Rosenstrauss
    詳しくは南里沙オフィシャルサイト http://southrachel.p1.weblife.me/

スタイリスト:白山美由紀
取材・文:横田一郎
衣装協力:ZURI
撮影:萩庭桂太