デビュー・アルバムの『Mint Tea』はオリジナル曲のほか、バッハからカーペンターズ、ジャニス・ジョプリン、ジャコ・パストリアス、パット・メセニー、グレン・ミラーまで本当に様々なジャンルから選曲された楽しいアルバムだ。

「クロマチック・ハーモニカはメロディ楽器。懐かしいメロディ、新しいメロディ、いろいろなメロディをクロマチック・ハーモニカで演奏したらどんな音楽になるのかというのがこのアルバムのテーマです。ジャンルにとらわれることなく素敵なメロディをテーマに選ばれた曲です。できるだけ多くの皆さんに聴いてもらうための名刺代わりの一枚です」

 それこそスピーカーの前で耳をそばだてて聴いても良し、デスクワーク中のBGMにしても良し、かなり活用範囲の広い音楽なのである。彼女が言うとおりハーモニカがジャンルにとらわれない楽器であるという強みが最大限生かされている。

 さらに言うなら、ジャンルも飛び越えるから簡単に国境も飛び越える。すでに彼女は簡単に海の向こうでも才能を認められている。近い将来、国内外を問わずあらゆるジャンルの巨匠たちと共演することになるはずだ。そしてハーモニカ人口も確実に増えるのではないか。

「ロックは今まで聴かず嫌いだったんですけど、今回チャレンジしてみてとても楽しめました。これからもこういう面白いことにどんどんチャレンジしていきたいですね。自分の幅を広げる事が、聴いていただける方を広げていくためにも必要だと思っています。私がクロマチック・ハーモニカに出会った時の衝撃を皆さんに知って欲しい。この魅力的な楽器を少しでも聴いて欲しいと思っています」

 ちなみに私のお気に入りはジャコ・パストリアスが残した名曲中の名曲『Three Views Of A Secret』。なんか「生きている事の喜び」みたいなものすら感じる珠玉のメロディ。是非御一聴あれ。

 さらに、彼女がハーモニカを吹く姿をライブで観てほしい。正直、左手にマイクを持ち演奏する姿はロック世代のオジサンから見て相当にカッコイイ。というか彼女が演奏する姿は、その音も相まって官能的ですらあるのだ。

  • 出演:南 里沙

    1987年4月9日生まれ。神戸女学院大学音楽学部音楽学科オーボエ専攻卒業。大学在学中にクロマチック・ハーモニカに出会い、徳永延生氏に師事。2009年、F.I.H.ドイツ世界大会オーブンカテゴリー準優勝。2010年、第30回F.I.H.日本ハーモニカコンクール3部門にて優勝。ジャズ・ポップス部門において、同大会の総合グランプリ受賞。第8回アジア太平洋ハーモニカ大会クロマチックソロオープンにて優勝。2011年、中国・上海音楽庁で演奏、またいずみホールにてウクライナ国立キエフ交響楽団と共演。2012年、ウクライナにてISNO新交響楽団と共演。

    メジャーデビュー“Mint Tea”ツアーは7月16日東京・六本木STB、18日大阪・難波Flamingo the Arusha、“Mint Tea”スペシャルコンサートは26日名古屋・名駅Rosenstrauss
    詳しくは南里沙オフィシャルサイト http://southrachel.p1.weblife.me/

スタイリスト:白山美由紀
取材・文:横田一郎
衣装協力:ZURI
撮影:萩庭桂太