「’80年代~’90年代、私のライヴは“縁結びコンサート”と言われていました。男の子と女の子がライヴ会場で出会って、私の曲を聴きながらドライヴデートをして、ゴールインしていたからです」

 杏里のセルフカバーアルバム『Surf City -Coool Breeze-』は、前半と後半でがらりとテイストが変わる。

 前半はアップテンポの曲が次から次へと続き、飛ばしていく。後半はスロウな曲が中心だ。

「Surf City」「Affection」「YOU ARE NOT ALONE」……と、ラヴバラードが続く。

 杏里のバラードはAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)とブラック・コンテンポラリーのテイストが絶妙なバランスで取り入れられている。はっきりしたリズムの上を流れる美しいメロディを、シャープなギターのカッティング、サックスソロ、ストリングス仕様のシンセサイザーが甘く味付けする。

 そこに杏里のキャンディヴォイスがのると、ほかのアーティストとは違う彼女だけの物語になる。

 そんなおしゃれな音楽だから、コンサートで偶然席が並んだ男女の間で愛が生まれるのだろう。

『Surf City -Coool Breeze-』 2013.7.10発売

初回特典盤 CD+DVD 3,600円(税込) QYZI-10007
通常盤 CD 3,000円(税込) QYCI-10007
http://anri-music.com/disc/

  • 出演:杏里

    シンガー・ソング・ライター。神奈川県出身。1978年に「オリビアを聴きながら」でデビュー。「悲しみがとまらない」「思いきりアメリカン」「SUMMER CANDLES」など数々の名曲を歌ってきた。最新アルバムは、1980年代の自分の曲をセルフカバーした『Surf City』(3,000・アイビーレコード)。まもなく「杏里コンサート2013 Surf City」がスタート。7月13日(土)松戸・森のホール、31日相模女子大グリーンホール、8月2日中野サンプラザホール、30日かつしかシンフォニーホール、9月13日金沢歌劇座。詳細は http://anri-music.com/

  • 取材・文:神舘和典

    1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生きていたジャズミュージシャンのほとんどにインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。

    新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
    幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html

撮影:萩庭桂太