EIKOのつくるファッションのテーマはこうだ。「すべての女性の中には女神がいる」。ある日、本当にそのことに覚醒したのだそうだ。

「その瞬間、涙が込み上げてきて、ああ、私は女性である、尊い存在なんだ、もっと自分を大事にしていいんだ、と思えたんです。それまで自分が気づかなかった『女性であること』に意識がいくようになりました」

 チームの女性たちもそこに賛同して集まってきた人たちだ。

「1人ずつが『女性であること』の自覚と自信に目覚めたら、とても大きな愛やエネルギーを発することができます。そういう意味で、女性を応援していきたいし、私ひとりのブランドというよりは、ひとりずつの女性の素晴らしさを結集させたものでありたいと思っています」

 EIKOさんの気持ちは揺るぎないものだった。それがあの無防備なまでにまっすぐこちらを見る目から伝わってきた。

 撮影とインタビューが終わり、彼女は私のことをタロットで占ってくれた。なんでも「私に必要なもの」を占ってくれるという。

「はい、このカードですね」

「……」

 何を言われるんだろう。固唾を飲む。

「あなたに必要なのは温かい環境と愛です」

 おっしゃる通りです、と、どっと落ち込んで帰った。

「女性であること」の自覚や自信をもつ女性が、今、とりあえずお花を髪につけたら「どうしたの?」と怖がられそうなこの日本の世の中にどのくらいの割合でいるのだろう。

 EIKOさんたちには本当に本当に、頑張ってほしいものである。

  • 出演:EIKO

    大学在学中にバルセロナに留学、ヨーロッパでそのセンスを磨く。夫のグッドニー・グドナソン氏と出会い、ジュエリー制作を始め、ダンサーとしてもアメリカなどへ進出。10年前に世界を相手にジュエリーブランドを立ち上げ、今に至る。
    http://www.eikosworld.com/profile.html

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太