EIKOのファッションに欠かせないのが、フラワーアートである。

 ショーには繊細で愛らしいピンクや白のグラデーションのティアラやコサージュがたくさん登場していた。それらを制作したフラワーアーティストの真咲さんは、もともと看護士だったという人。

「畑違いのようだけど、ヒーリングを学び始めて、人の心を癒すという意味でつながっているなと思ったんです。1年半前にそこでEIKOさんと知り合い、急にダンスを始めたり、お花を作り始めたりしました」

 なんとまだフラワーアートを始めて1年半だというのだから、すごい習得の早さである。というか、眠っていた才能が開いたということなのかもしれない。うーん、これがファンタジー系の人たちの「潜在能力の開花」なのか。

「最初にEIKOさんのドレスを見ていて『どうしてお花がついていないのかしら』と思ったんですよね。つくっているときは何も考えない。無我夢中です。お花を組み合わせて置くときが最高に楽しい。ショーでは女性の美しい部分を表現するために、お花は欠かせないと思います」

 EIKOさんが言葉を添える。

「普通に暮らしている人がお花をつけるってハードルが高いかもしれませんね。お花をつけたらそれが当たり前な気持ちにならないと。自分の中の“女神な部分”を花開かせるということです」

 そういえば、ミャンマーのアウンサンスーチー女史はいつも人前に出るときは「平和の象徴」として髪に花を飾る。本人は「平和の象徴」と言っているらしいが、それを見る民衆はそこに、彼女の「女神性」を見てしまっているのではなかろうか。

 そこまで含んでの、スーチー女史の計算なのかもなあ、と、ふと思った。

  • 出演:EIKO

    大学在学中にバルセロナに留学、ヨーロッパでそのセンスを磨く。夫のグッドニー・グドナソン氏と出会い、ジュエリー制作を始め、ダンサーとしてもアメリカなどへ進出。10年前に世界を相手にジュエリーブランドを立ち上げ、今に至る。
    http://www.eikosworld.com/profile.html

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太