10月、EIKOは初のコレクション・ショーを国立霞ヶ丘競技場(青山門)特設テントで開催した。まさに彼女の心のなかにある「黒い森」をイメージしたドーム内に、妖精のような衣装のモデルたちが次々と現れた。ドレスのパターンと縫製を担当したのが、岩田麻記さん。EIKOのデザイン画をもとに、ショーに登場した30着をほぼひとりで、2カ月かけて仕上げたという。

「知り合いの知り合いの紹介でここへたどり着きました。大きな会社で既製品をつくるのは好きではないので、とても楽しい。流行はつくられているものなので、あまり興味はありません」

 またジュエリー制作担当の森内敦子さんも、会社でジュエリーのデザインと制作を担当した経験をもつ。

「ある雑誌でEIKOさんのジュエリーを見たとき『これはどこにもない』と思ったんです。ビクトリア調で、本当に美しい。アシスタント募集を見てすぐに応募しました」

 彼女が来たことで、EIKOはそれまで時間をかけていたジュエリー制作を任せることができた。今はデザインをEIKOが、制作を森内さんが担当する。彼女の知識と情報から、EIKOはつなぎのパーツ部分までもオリジナルにすることに成功した。

 すべてを統合するプロデューサーの岡崎直子さんは、もともと大手出版社で何十万部も売れている女性ファッション誌の編集者をしていた人だ。

「雑誌で流行をつくる立場にいたので(笑)、今は正反対の場所にいるんですね。もちろん、それも面白かったけど『本当にこういうのが着たい』というファッションがあってもいいと思うんです。お花はやっぱり可愛い、みたいな」

 様々な方向から支持者が集まる。自分の世界を理解され始めたEIKOのファッションは、今、多様なキャリアを持った、次の世界を探すプロフェッショナルたちに支えられているのだ。

  • 出演:EIKO

    大学在学中にバルセロナに留学、ヨーロッパでそのセンスを磨く。夫のグッドニー・グドナソン氏と出会い、ジュエリー制作を始め、ダンサーとしてもアメリカなどへ進出。10年前に世界を相手にジュエリーブランドを立ち上げ、今に至る。
    http://www.eikosworld.com/profile.html

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太