私がインタビューに訪れたときはまだ撮影真っ最中だった。白いバック紙の前で、SHOKOは妖艶なポーズをとっていた。すくすく伸びた体躯。彫りの深い顔立ち。つんとした唇がやけに色っぽい。なんとなく『裸でごめんなさい』に出ていたあたりの、初期のブリジット・バルドーを思わせた。

「森さん、最初に言っとくけど、SHOKOは賢くないからね」

 本人の前で萩庭桂太はそう言った。「ひどい」と、SHOKOはさらに憎たらしく唇をつんとさせた。私はその顔が「可愛いな」と思った。

「……なんか、バルドーみたい。憎たらしいと可愛いの間の、憎たらかわいい、ね」

 SHOKOは「憎たらしいですか」と、一瞬またむっとした。でもスタッフがよってたかって「褒め言葉だよ~」と言うと「そっか」と急に日が射したかのようににっこり笑った。

 非常に個人的な見解であるが「賢い」なんて言われるのは、女としては残念な気がする。

「賢い」という言葉で一段上にまつりあげられたり、遠ざけられたりするのは特に若い女性にとってはあまり楽しいことではないと思うのだ。

 もちろん、ある程度の年齢の女性にとっても。

 「憎たらかわいいSHOKO」は、ころころ気分を変えながら、レンズを見つめていた。その様子がまた、憎たらかわいかったのである。

  • SHOKO

    沖縄県出身のモデル、女優。日本人の父とスイス人の母を持つ。18歳でモデルとしてデビュー、20歳で海外中心のモデル活動を始める。日本語、英語、中国語を話す。2012年には、中国・台湾の合作映画『宝島双雄』で女優デビューを果たし、得意のアクション、格闘技を披露。「GQ」台湾版2014年2月号では表紙を飾った。現在は、さらに日本でも活動の場を広げている。
    ティーム・エヴィーヴァ(所属事務所) http://www.team-evviva.com/
    公式ブログ http://ameblo.jp/shokolate-chocolate/entry-11784020085.html
    facebook https://www.facebook.com/waldispuhl.shoko

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

  • ヘアメイク:西田裕美子

    数店舗の美容室で経験を積んだ後2002年にヘアメイクに転向、ヘアメイク事務所Deuceに所属。やさしい人柄であたたかく誠実な仕事ぶりには定評がある。女性らしく明るい、透明感のあるメイクが得意。現在CDジャケット、PV、TVやショーを中心に活躍中。

衣装協力:HONEY MI HONEY http://honey-mi-honey.com/
撮影:萩庭桂太