過去に長谷川理恵さんには2度インタビューしたことがある。

 一度目はおそらく2000年のホノルルマラソン初挑戦の直前で、今はなき「COSMOPOLITAN」日本版でのインタビューであった。

 東京・半蔵門にあるTOKYO-FMの一室に姿を現した彼女は、スウェットスーツにノーメイク。私の目に焼き付いていたファッション誌の表紙を飾る華やかな彼女とはまるで違った。

 「そうですね、はい……」とはきはき語る面差しはもはやアスリートで、正直、面食らったものだった。

 2度目に会ったのは2010年の10月だ。こちらは自ら編集長を務めている湘南発のウェブマガジン、「BRISA」でのインタビューだった。彼女の実家が鎌倉にあることで、そこで過ごす時間の話と、当時『朝リーディング』(ダイヤモンド社)という著書を出されるということで、その話だった。

「小説は読みません。実用的な本しか手に取らないですね」

 髪を伸ばし、すっかり女性らしくなった彼女の口から出てきたのは、ルックスとはギャップのあるさばさばした言葉だった。

 2度のインタビューに共通するのは、こちらが抱くイメージと実際に語られる言葉との不思議な違和感。そしてその奥にある長谷川理恵という人の本質は、とても正直でまっすぐなのではないかと感じた。

 世の中では恋愛のニュースで騒がれたりすることもある彼女だったが、私はそこでのイメージとの明らかな乖離を感じていた。

 勝手に作られていくイメージと、本当の姿。

 ……思いを馳せながら、3度目の正直の長谷川理恵さんに会いに行った。

  • 長谷川理恵

    1973年12月1日神奈川県生まれ。93年、「Can Cam」(小学館)に読者モデルとして初登場し、その後、ファッション誌の人気モデルとして活躍。2000年にテレビ番組の企画でホノルルマラソンに参加以降、数々の大会に出場。その後、野菜ソムリエの資格を取得。走ることとチャリティーを結ぶ活動にも積極的で、インターネットで寄附を募る団体「ジャスト・ギビング・ジャパン」を通して「Smile & Run」チャリティープロジェクトを立ち上げる。12年10月末に第一子を出産。親子で運動できる「バギーラン・バギーエクササイズ」のインストラクター資格も取得。14年2月23日の東京マラソンで、チャリティーランナーとして、産後初のフルマラソンを3時間31分26秒の好タイムで完走した。
    公式ブログ『リエゴト』http://ameblo.jp/hasegawarie/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:浩平(HEADS)
撮影:萩庭桂太