1月29日、ビルボードライブ東京。

 六本木の東京ミッドタウンにあるこの洗練されたライヴスポットの席はすべて埋まっていた。

 客席にはおしゃれな男女が目立つ。

 午後7時、ステージにバンドが表れ、観客の意表をつくように2階席から松下奈緒が登場した。

 黒のパンツスーツに白いブラウス姿。

 会場の空気は一気に高揚する。

 キャパシティ300ほどのコンパクトなライヴスポットなのに、近距離からさらに双眼鏡で松下を“鑑賞”する男性もいる。

 ピアニストで、シンガーで、女優でもある松下だからこそのコアなファンだ。

 1曲目はまだタイトルもない新曲。

 登場から選曲まで、次から次へとサプライズが続く。

「東京ミッドタウンができてからずっと、ビルボードライブ東京でライヴを行いたいと思い続けていました。その願いがようやくかないました」

 松下は打ち明ける。

 特別な思いをこめて、ホールコンサートとは趣向の異なる演出を心がけた。

 2013年秋に会場からオファーが届いた際には、即OKしたという。

 バンドは、ドラムス、ベース、ギター、キーボード、ヴァイオリン、ピアノとヴォーカルの松下を加えると6人編成。

 すり鉢状に設計された会場のボトムに位置するステージから、上層階に向かってきらびやかな演奏が立ち上っていく。

 音楽はもちろん、松下の容姿やファッションや佇まい、会場の雰囲気、そしてフロアでサービスされるおいしい食事やお酒……そのすべてがエンタテインメントだ。

『WOMAN』

発売中(2013年10月9日発売)
CD 3,000円+税 ESCL-4113
http://www.sonymusic.co.jp/artist/matsushita-nao/discography/ESCL-4113

  • 出演:松下奈緒(まつした・なお)

    ピアニスト、シンガー、女優。1985年兵庫県出身。2004年東京音楽大学器楽科在学中に、ドラマ『仔犬のワルツ』で女優デビュー。10年NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の主演で国民的女優となる。そのほかに『Good Job~グッジョブ』『CONTROL~犯罪心理捜査~』『胡桃の部屋』『二十四の瞳』『花の鎖』などで主演。音楽家としては、06年にアルバム『dolce』でデビュー。最新作は、富士通ゼネラルエアコンCMソング「永遠のハジメマシテ」やフジテレビ系連続ドラマ『鴨、京都へ行く。-老舗旅館の女将日記-』挿入曲「ホントのひかり」、などを収録した『WOMAN』(エピックソニー 3000円+税)。
    http://www.matsushita-nao.com/

  • 取材・文:神舘和典

    1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生存したジャズミュージシャンをほぼインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。

    新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
    幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html

撮影協力:ビルボードライブ東京 http://www.billboard-live.com/
ヘアメイク:YONE
撮影:萩庭桂太