少年と少女が共存する天才
川村結花
- Magazine ID: 1560
- Posted: 2014.01.13

川村結花さんというシンガーソングライターのことが、ここ10年くらいずっと気になっていた。
あのSMAPの「夜空ノムコウ」の作曲者として知り、その後、ベストアルバム『works』(2003年発売)を入手して、全曲覚えるほど聴いた。
その瑞々しい感性と言葉の選び方から、自分より15歳くらい年下なんじゃないかと思っていた。
たとえばそれは「ぼく」という一人称がすっと当てはまったりするところだ。
小説で言えば吉本ばななを初めて読んだときに、彼女が「ぼく」と書くのはとても自然な印象だったように。
でも「わたし」で書かれている歌詞はまるで少女のようだ。
一人の作者の中にある、少年と、少女の共存。純粋で壊れやすそうで、でもぎりぎりのところで踏ん張って生きていて。結局強く見えるけど、そこに至るまでのことをわかる人にだけわかってほしいんだよね、という「わたし」の姿。……歌詞の底にそこはかとなく流れるそんな気持ちにすっと入り込んでしまっていた。
音楽雑誌というものはどんどんなくなって、女性誌のインタビューもどんどんミュージシャンのためのページを削られてはいるが、いつか会えるかもしれないという予感はあった。私の根拠のない確信は外れたことがほとんどない。
やはり先日、そのタイミングがやって来た。
きっかけはFacebookだった。このYOUR EYES ONLYにも「RunGirl」として登場してくれたことがある東谷彰子さんが「川村結花さんのライブに行ってきました」という投稿をしていたのである。
私はすかさず「ファンです。行きたかった」という主旨のコメントを残した。すると東谷さんとメールのやり取りになった。
「YOUR EYES ONLYでどうでしょうね」
「早速、ハギニワさんに相談してみます」
一応、この連載で誰に出ていただくかを最終決定するのは、ハギニワなのである。話をもっていくと、割とするっと「やりましょう」と返事が返ってきた。しかしよくよく考えてみれば、出ていただく方もノーギャラなのである。正しくは「お願いしましょう」だ。
川村さんもふたつ返事でOKしてくださった。
最初にお会いしたのは、代々木の洒落たカフェだった。
ハーブティーなんて頼んで気取っていたのもつかの間、紹介者の東谷さんをはさみ、川村さんと私は大阪弁になり始めた。
「河内長野から東京芸大へ行きはったなんて、天才としか言いようがないわ」
私の感嘆に川村さんは爆笑しておられた。
よくよく聞いてみれば、やはり彼女の天才ぶりは半端なかった。
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出演:川村結花
大阪府生まれ。1995年よりシンガーソングライターとして活動を開始。自らピアノの弾き語りライブを続けながら、他のアーティストへの楽曲提供を数多く行う。2010年、FUNKY MONKEY BABYSに提供した「あとひとつ」で、同年の日本レコード大賞作曲賞受賞。新譜『private exhibition』のリリース記念ライブを2月16日(日)札幌・KRAPS HALL、2月23日(日)東京・南青山MANDALA、3月1日(土)静岡・常林寺白龍観音堂ホール、3月9日(日)大阪・Music Club JANUSで行う。
http://www.kawamurayuka.com/ -
取材・文:森 綾
1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
撮影:萩庭桂太