「曲を作っているところを撮影していいですか」。こちらのそんな不躾な申し出にも川村さんは応じてくれた。

 都内の閑静な住宅街。自室にはアップライトのピアノと、Mac。最小限の機材とマイクが備え付けてあった。

 詞はMacの画面にずらりと並ぶ。曲は楽譜に手書きする。

「五線紙はお茶の水のあるお店のもので、これだけはこだわりがあります。ペンは100円ですけど(笑)」

「まず詞を書くんです。私の場合、詞からじゃないと楽曲はできません。それから五線紙にメロディを書いて、頭に音を鳴らす。できてから1日くらい、置いて、ああ早く歌いたい、と思ってピアノの前に座ります。そこでコードをつけて弾いて歌ってみて。……ああ、ここ、開放かな。いや、違うかな……」

 彼女は書きかけの楽譜を見ていて、またなんとなくコードを探し始めた。撮影が終わっても真剣に悩み始める。

「あ、すみません。もうこのカット、終わってますよね」

 足元に、愛犬のブブカとフィーゴがくんくん甘えに来た。

  • 出演:川村結花

    大阪府生まれ。1995年よりシンガーソングライターとして活動を開始。自らピアノの弾き語りライブを続けながら、他のアーティストへの楽曲提供を数多く行う。2010年、FUNKY MONKEY BABYSに提供した「あとひとつ」で、同年の日本レコード大賞作曲賞受賞。新譜『private exhibition』のリリース記念ライブを2月16日(日)札幌・KRAPS HALL、2月23日(日)東京・南青山MANDALA、3月1日(土)静岡・常林寺白龍観音堂ホール、3月9日(日)大阪・Music Club JANUSで行う。
    http://www.kawamurayuka.com/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太