松本莉緒における、さまざまな時代
松本莉緒
- Magazine ID: 1557
- Posted: 2013.12.16
まぶしいくらい大きな瞳、美しい口元、すらりと長い脚。実物の松本莉緒さんに会ったら誰しも、陳腐だとわかっていても美辞麗句を並べたくなることだろう。女優、タレントとして、あるいはファッションモデルとして、足かけ20年芸能界で活動をしているので、彼女に関する記憶は人によってまちまちかもしれない。
11歳のときにデビューして13歳でドラマ初出演。今年31歳になった彼女だが、子役だった頃の美少女の印象が強い人もいるかもしれない。同世代の人たちにとっては、人気者の同級生のような存在だろうか。多感な時期をコマーシャルやドラマで共有したためか、大人になって再び映画やドラマでその姿を見ると、30代の人は思わず応援したくなるようだ。
少女から大人の女性に変わっていくなかでコマーシャルやポスター、グラビアに登場するフォトジェニックな姿を見て、ファンになった男性も多いことだろう。華やかで美しく、しかも抜群のプロポーションなのだから。
ファッションアイコンとしての影響力もあったはずだ。女性ファッション誌「Ray」や「Fine」の表紙モデルを務めていた時期に、彼女の着こなしやメイク、ヘアスタイルなどに憧れたり、感化された女性は数えきれないだろう。
あるいはドラマ『モテキ』を観て松本莉緒さんの魅力を再認識した人もいるかもしれない。2010年にヒットしたこのドラマのなかでは、主人公が人生で一番好きだった女性、小宮山夏樹を演じた。酒を飲んではトラブルを起こすけれど、彼女を目の前にすると男性は何も言えなくなってしまう……誰しもその魅力に抗えないという点で、まさにはまり役だった。
『モテキ』出演にあたって、大根仁監督自身が口説いたにもかかわらず当初は出演を断っていたと聞いていたので、本人に確かめてみた。
「最初は原作の漫画を読んで、あまりに過激なので自信がなくてお断りしたんです。どうしてもと言われて監督にお会いしたとき、わたしがブログに載せた私服コーディネイトの写真をA4でプリントアウトしたファイルをお持ちだったんですよ。2年分。しかも翌日から撮影が始まるって……もう断れない状況ですよね! でもそのときは『考えさせてください』と言って、お返事はブログの中ですることにしたんです」
数日後、彼女はブログの中で大根監督だけにわかるように、出演の意向を伝えた。きっと、彼女のブログを愛読していた監督の頭の中には、最初から「小宮山夏樹=松本莉緒」という図式が出来上がっていたのだろう。ドラマでは、演じるだけでなく、衣装はすべて彼女自身が手がけたそうだ。
こうしてプロフィールを見ていくと、20年の間にさまざまな活動をしてきたことがわかる。しかし、彼女には表舞台に出ない時期が一度ならずあった。
十代の頃、彼女が突然姿を消したことを記憶している方もいるだろう。当時について、本人に聞いてみた。
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出演:松本莉緒
1982年東京都出身。94年、11歳の時に原宿でスカウトされ芸能界入り。グラビア、CMなどに多数出演。95年、日本テレビ系『終らない夏』でドラマデビュー。その後は、『ガラスの仮面』や『聖者の行進』(野島伸司脚本)など多数出演。若手実力派女優として着実に名声と実力を積み重ねていった。97年には「ビクター・甲子園ポスター」キャンペーンに、キャンペーン史上唯一の現役中学生のモデルとして選ばれた。2002年女優・タレントとして復帰。同年4月、『ゴールデンボウル』(野島伸司脚本)に復帰後ドラマ初出演。04年ミュージカル『HEART of GOLD』で歌手デビュー、05年映画『東京フレンズ』、10年ドラマ『モテキ』出演。さらにファッション雑誌「Ray」「Fine」の表紙モデルを務める。2013年は舞台『パニ☆ホス』にて主演を務めた。女優、モデル、タレントとして活動中。
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ヘアメイク:西田裕美子
数店舗の美容室で経験を積んだ後2002年にヘアメイクに転向、ヘアメイク事務所Deuceに所属。やさしい人柄であたたかく誠実な仕事ぶりには定評がある。女性らしく明るい、透明感のあるメイクが得意。現在CDジャケット、PV、TVやショーを中心に活躍中。
https://www.facebook.com/yumikonishida.deuce -
取材・文:加藤いづみ
コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
撮影:萩庭桂太