ドラマなどでご存知の方は多いと思うが、松本莉緒さんの声はとてもチャーミングだ。くすぐったくなるようなふわふわした声で話されると、生々しい話も実感を伴わない。だけど聞いてみたい。まずは松本莉緒の結婚観。

「最近、周りが慌ただしくなってきたんですよ。誰かが結婚するのではなく、わたしを心配する声が急に多くなってきて。ここ1カ月で3人に『紹介したい人がいる』って言われました(笑)。友だちは、そろそろ結婚を考えた方がいいよ、と真面目に意見してくれるけど」

 本人は、いたってノンキ。とくに焦る気はないという。だが、聞いていくうちに、恋愛もかなり慎重派だということがわかってきた。

「惚れっぽいんです! で、相手から告白されても、返事をするまでの期間がすごく長いんです。そのあいだ、いろんな角度からその人を観察し続けます。そのうちに、これ以上待てないって言われてしまったり。でも、これからはもう少し自分の直感を信じるようにしたいと思います」

 彼女自身、恋愛に慎重になりすぎているとは感じているようだが、安易に飛び込むことはできない様子。でも、付き合ってみないとわからないこともあるよ、と思わず言ってしまった。何事もまじめに考え過ぎる気がするなあ。

「そうですよね! わかっているんですけど……」

 そこまでまじめに考えているのだから、きっと神様がぴったりの人を遣わしてくれる。本人は固く信じていますので神様よろしくお願いいたします。

 友だちはすでに「もう、気が済むまでいろんな人を見た方がいいよ」となかば匙を投げている様子。

 友だちといえば、彼女にとって宝物ともいえる大切な友だちは、中学校時代の同級生だ。1人はスタイリスト、もう1人はエステティシャン。20歳のときから3人で「いつか一緒に仕事をしたいね」と言ってきたことが最近徐々に実現しつつあるという。

「中学生の頃は自分でタルトを作って『おいしいから食べて』と近所に住んでいた彼女たちの家に配り歩いていました。朝6時から(笑)。子どものときから食いしん坊で、甘いものが好きでした」

 いまも食べることが大好き。彼女が行きつけの立ち食い寿司屋は、手頃な値段で新鮮なネタが食べられる店だった。おいしいものをよく知っている。

「おいしいものを食べると心が喜ぶし、活力になると思う。おいしいものを食べないと、気持ちが貧相になっていく気がします」

 たとえ立ち食いでも、自分にとって最上のものを食べることで「細胞が喜ぶ」という。いい表現だ。握り寿司を口に入れた瞬間、その日一番うれしそうな、素敵な笑顔をみせてくれました。

 さて、今年も残すところあとわずか。松本莉緒さん、2014年はどんな年にしたいですか?

  • 出演:松本莉緒

    1982年東京都出身。94年、11歳の時に原宿でスカウトされ芸能界入り。グラビア、CMなどに多数出演。95年、日本テレビ系『終らない夏』でドラマデビュー。その後は、『ガラスの仮面』や『聖者の行進』(野島伸司脚本)など多数出演。若手実力派女優として着実に名声と実力を積み重ねていった。97年には「ビクター・甲子園ポスター」キャンペーンに、キャンペーン史上唯一の現役中学生のモデルとして選ばれた。2002年女優・タレントとして復帰。同年4月、『ゴールデンボウル』(野島伸司脚本)に復帰後ドラマ初出演。04年ミュージカル『HEART of GOLD』で歌手デビュー、05年映画『東京フレンズ』、10年ドラマ『モテキ』出演。さらにファッション雑誌「Ray」「Fine」の表紙モデルを務める。2013年は舞台『パニ☆ホス』にて主演を務めた。女優、モデル、タレントとして活動中。

  • ヘアメイク:西田裕美子

    数店舗の美容室で経験を積んだ後2002年にヘアメイクに転向、ヘアメイク事務所Deuceに所属。やさしい人柄であたたかく誠実な仕事ぶりには定評がある。女性らしく明るい、透明感のあるメイクが得意。現在CDジャケット、PV、TVやショーを中心に活躍中。
    https://www.facebook.com/yumikonishida.deuce

  • 取材・文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。

撮影:萩庭桂太