自称、かなりの動物好きである。

 野良猫に道端で「ニャ~」と鳴かれると、「何かエサをやらなきゃ!」とバッグの中をあさってしまうし、震災後、被災地に取り残された犬や猫たちの姿をニュースで見たときは、胸がつぶれそうなほど悲しくなった。

 不幸な動物たちをなんとかしたい。そう思っている人は世の中にゴマンといるだろう。とは言え、ただそう思っているだけで、実際には何も出来ない人が大半だ。情けないことに、私もまさにそのひとり。

 だが、そんな動物たちへの「思い」を確固たる「形」にした女性がいる。それが西平衣里さん。大好きな動物たちをもっと幸せにしたい。そんな思いを具体的な形にするために、おととし、日本初の動物限定オンライン寄付サイト『アニマル・ドネーション』を立ち上げた。

 通称『アニドネ』と呼ばれる、この寄付サイトは実に画期的。捨てられたペットたちに里親を探す保護団体や、人間のために働いてくれる盲導犬や介助犬を育成している団体を紹介し、自分が応援したい団体に誰でも気軽に寄付できる仕組みになっている。『アニドネ』自体は非営利組織で会計もガラス張り。現在までに寄付された合計金額と、団体毎の詳細な使用明細がアップされているので、自分が寄付したお金の使い道が一目瞭然で安心できる。

 しかも、金額は1000円からと手軽で、手持ちのクレジット・カードで簡単に決裁できる。私もトライしてみたところ、まるでAmazonで買い物をするようにスムーズだった。

「動物たちのために何かしたい。でも、どうすればいいのかわからない。そんな人たちがネットで気軽に寄付できる仕組みを作れば、みなさんの心にある思いをもっと大きなパワーに変えられるんじゃないかと思ったんです」

 そう語る西平さんは、「女性誌の読者モデルか?」と思うほどお洒落でキレイな人だ。あえて偏見を覚悟で言うならば、「なりふり構わず、自分の人生を動物愛護活動に捧げている女性」とは、かなり違った印象だ。実際に、「若い頃はバブルのまっただ中。エルメスやヴィトンなどのブランドものも、それなりに買いました(笑)」という西平さん。

 その人生の流れを変えたのは、1匹のトイプードルとの出会いだった。

  • 出演:西平衣里(にしひら・えり)

    1969年、福岡県生まれ。短大卒業後、(株)リクルートに勤務。中途採用情報誌や結婚情報誌『ゼクシィ』の創刊に携わる。その後、ゼクシィ・ブランドのムック版『海外ウエディング』『インテリア』『ドレス』に編集制作、クリエイティブディレクターとして携わる。’03年に(株)リクルートを退社。10年に一般社団法人『アニマル・ドネーション』を設立。11年7月より、動物関連限定のオンライン寄付サイトをオープン。
    『アニマル・ドネーション』公式サイト http://www.animaldonation.org
    『INUTO(イヌト)』公式サイト http://inuto.jp

  • 取材・文:内山靖子

    ライター。成城大学文芸学部芸術学科卒。在学中よりフリーのライターとして執筆を開始。専門は人物インタビュー、書評、女性の生き方や健康に関するルポなど。現在は、『STORY』『HERS』(ともに光文社)、『婦人公論』(中央公論新社)などで執筆中。

撮影協力:Dog Shelter(ドッグシェルター) http://dogshelter.jp
撮影協力:マーキュリードッグ http://www.mercury-dog.com
撮影:萩庭桂太