勝負下着
和智茉璃奈
- Magazine ID: 1531
- Posted: 2013.05.20
一時期流行して最近あまり聞かれなくなった言葉に「勝負下着」というのがある。
以前、藤山直美さんの『わたし、へんでしょ?』(バウハウス刊)という本の構成をお手伝いしたとき、直美さんはこうおっしゃっていた。
「私、勝負下着って、将棋をさす女の人とかが、勝負に勝つために着るもんやと思てたんです」
なるほど真っ白なサラシでも巻くイメージであろうか。さすが直美さん、清らかな方である。
読者の皆さんはまさかそんな勘違いはされていないだろうと思うが、一応説明しておくと、男女がおつきあいをしていて「今日は脱ぐのよね」という予感のある日に女性が着用する下着、のことである。あるいはマンネリ化した夫婦などの間で、妻が夫の発奮のために用いる下着、という場合もある。
ではどんな色、どんなデザインの下着が勝負下着なのかというと、これはなかなか難しい。
今週ご紹介する若きランジェリー・プロデューサーの和智茉莉奈さんに、さっそくこの長年の疑問をぶつけてみた。
「私のところで働いている女性たちに『あなたの勝負下着って?』と持って来てもらったことがあるんです。そうしたらもう基準がバラバラ。フリルだらけのを持ってくる子がいたり、これ、セクシー過ぎでしょというような露出度の高いのをもってくる子がいたり、中学生の着るスポーツ・ブラみたいなのをもってくる子がいたり。結局、彼氏が求めるもの、好みのもの、ってことになるんですよね」
なるほど。じゃあ、まだ相手の好みもわからない、初めての男性のときはどうするんですか。「どんな下着が好き?」なんてデートでは聞けないんです、昭和の女は。
「販売員をしていたとき、カップルで来る人たちの男性のほうが、必ずこっち、という配色があったんです。それは……」
じ、じらさないで、早く教えて。
「日本の男受けNO.1下着は、サテンでピンクと黒の配色です!」
和智さんはその配色の下着を人気ファッション誌やラジオ番組とのコラボでデザイン、驚くほど売り上げたという。その話は後にゆっくりうかがうとして、大事なことを聞いておかなくては。
それで、和智さんの勝負下着の色は?
「黒とか紫、かな。でも、私は毎日、勝負下着です!」
まいりました。
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出演:和智茉璃奈
1986年東京都生まれ。短大卒業後、大手ランジェリーメーカーに入社、若干20歳で店長に。前年比300%売り上げるカリスマ・フィッターとして話題に。現在はMysterious Margueriteというブランドのプロデューサーで、株式会社WM(ダブルエム)代表取締役社長。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/marinachan66/
Mysterious Marguerite http://mysterious-marguerite.jp/ -
取材・文:森 綾
大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810
ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影:萩庭桂太