販売員時代からモデルのような仕事もしていた彼女は、ファッション誌『JJ』のおしゃれプロデューサー、略して「おしゃP」100人の中で、ただ一人、下着のおしゃPとなったのであった。

 ラジオの番組とコラボレーションして下着を作るという話も同時にやって来た。それが最初の作品となった。

「『レースツイストモールド』という名前にしました。ピンクのサテン地の上に黒のレース。ホルターネック付きでストラップも外せる。前がねじれていてカップ下の部分にパッドが入っていて、ボリュームを盛れる構造になっているんです」

 これが完売し、自らのブランド『Mysterious Marguerite』(ミステリアス・マーガレット)を立ち上げることになった。

「たとえば、セクシーなドレスが似合わない人もセクシーな下着なら着ることができます。下着は女性が内側に秘めて、気分を上げられるもの。マーガレットのように華やかに、ミステリアスにセクシーに、という思いを込めました」

 販売員だったときの自分を思い出し、今も目線は消費者とともにある。

「上司に怒られながらも一生懸命働いて、稼いだ給料から1カ月に一度くらい、交通費をかけて下着を買いにくる気持ち。すごく気に入った一枚を見つけて買って、家にもって帰ってそれを広げて、明日からまた頑張ろうと思えるくらいの1枚。それを作らないとと思いますね」

 いくつかの企業と組み、プロデューサーとして下着のデザインに関わる日々。今はなかなか店頭には立てない。今年10月、銀座に第一号店をオープンさせる計画が進行中で、オープン時は毎日店頭に立つつもりだ。立場が変わっても、彼女はいつも消費者のそばにいようとしていた。

  • 出演:和智茉璃奈

    1986年東京都生まれ。短大卒業後、大手ランジェリーメーカーに入社、若干20歳で店長に。前年比300%売り上げるカリスマ・フィッターとして話題に。現在はMysterious Margueriteというブランドのプロデューサーで、株式会社WM(ダブルエム)代表取締役社長。
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/marinachan66/
    Mysterious Marguerite http://mysterious-marguerite.jp/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影:萩庭桂太