和智茉璃奈さんは26歳。短大卒業後、ランジェリー・プロデューサーになる前は、某大手ランジェリー・メーカーで販売員をしていた。横浜ポルタ、ららぽーと横浜、青葉台東急スクエア。あとはいろんなところへ呼ばれて行った。

「楽しかったですよ。もともと女系家族で女子校育ちだし、女性だけでわいわいやっている空間が好きなんです。もちろん、下着を売ることの楽しさもありました。お客様と話をして、フィッティングすると、たいていサイズアップされますからね。本人は長年Aカップだと思い込んで着けておられて、実際に計ったらFカップだった人もいました。その人はびっくりし過ぎて買わずに帰ってしまわれましたが」

 客のバストに合わせてブラジャーを選ぶのは大事な仕事で、インティメイト・アドバイザーという資格もある。もちろん、和智さんはそれを取得した。

「ブラジャーは同じブランドでもひとつひとつ、モノによって形が違います。生地や素材の伸縮性やワイヤーの形、ゴムの伸びといった細かい違いもある。だから絶対にフィッティングして選んでほしいし、季節や生理によって女性の身体は変わるので、サイズもいくつかもっていてほしいんです」

 一般に生理の前は胸が大きくなる女性が多いが、2カップ変わる人もいるのだという。

「毎日、サイズが変わる人もいました。胸の形は本当に千差万別。だいたい、母親に似てきますけどね」

 女性の身体と下着の関係が面白くなっていくほどに、小さなフラストレーションもたまるようになった。

「ここはこうなっていたらもっと売れるのにな、とか、ここはこうしたほうがもっと可愛くなるのに、とか思うようになったんですね。とにかく、消費者に一番近いところに5年いられたことは、有り難いことでした」

 プロデューサーへのチャンスは思わぬところから巡ってきた。

  • 出演:和智茉璃奈

    1986年東京都生まれ。短大卒業後、大手ランジェリーメーカーに入社、若干20歳で店長に。前年比300%売り上げるカリスマ・フィッターとして話題に。現在はMysterious Margueriteというブランドのプロデューサーで、株式会社WM(ダブルエム)代表取締役社長。
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/marinachan66/
    Mysterious Marguerite http://mysterious-marguerite.jp/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影:萩庭桂太