なにしろ、2005年のミス東大である。加藤ゆりさんは、日本一頭がよい学生たちのなかで、いちばんの美人というわけである。

「東大生は意外に使えない」という企業人事部のご意見は多々もれ聞くが、ここまで可愛かったらそんなことを憂慮することもないであろう。だって彼女がいてくれるだけで幸せな空気が流れるというものではないか。

 天はニ物も三物も与える。いろんな人を取材していると、神様はつくづく不公平であると思う。

 その昔、某週刊誌のグラビアの仕事で、ミス東大になった中国人留学生を取材したことがある。

「なんだかよくわからないんです……」

 彼女はマスコミの取材に戸惑っており、私が生い立ちを尋ねるうちにホームシックになってしまったようで「お母さんの作る、白菜の甘酢漬けが食べたい」と、涙ぐみ始めたのであった。

 加藤ゆりさんは、ミス東大に選ばれた当時のことをこう振り返る。

「なっちゃったー、って感じですよ。私、三重県四日市市の、本当に田舎から出てきたんですね。ミス東大になったときは、本当に私でいいんだろうかと、プレッシャーに押しつぶされそうでした。でも基本的に、東大って他の早慶のような大学と比べて女子が少ないんですよ。だから競争率も低かったんだと思います」

 いやいや、そんなことはない。過去のミス東大には高田万由子さんや菊川怜さんもいるではないか。しかしプレッシャーはすごかったらしい。なぜなら彼女はとてもイタイ目にあっていたのだから……。

  • 出演:加藤ゆり

    1986年、三重県四日市市生まれ。2005年、東京大学理科二類に入学、1年生のとき、ミス東大に選ばれる。卒業後もタレントとして活動し、09年に日本テレビ『おもいッきりDON!』にレギュラー出演するなどテレビ、ラジオに多数出演。現在は日本テレビ『ZIP!』に週2~3回登場するレギュラーレポーターを務める。
    所属事務所公式サイト http://www.discovery-e.co.jp/model/00574.html
    オフィシャルブログ http://www.diamondblog.jp/yuri_kato/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太