東大に入る前は医学部志望だったのだという。

「小学生のときから、母親に『女のコだから手に職をつけなさい』と言われていたんです。化学は大好きだったし、医者に憧れていました。でも前期で医学部を受けて落ち、後期試験で東大の理Ⅱに受かったんです。理Ⅱは農学部、理学部、薬学部というジャンルなんですが、また入学してから人生に迷ってしまい、工学部に内定していたのに、もっと世の中を広く見たいと思って3年生から経済学部に入りました」

 迷いは続いた。1年生でミス東大になり、タレント業が始まって、さらに。

「ちょっとテレビに出たり、ラジオに出たり。在学中に東大受験記の本を出させてもらったり」

『ミス東大加藤ゆりの 夢をかなえる勉強法』(中経出版)がそれだ。合格するまでの33のノウハウをまとめたもの。でも、自ら地方にPRに出向いて手売りまですることになった。しかし、加藤ゆりさんは、そんな苦労を買って出ても、全然平気、ぴかぴか輝いているシンデレラみたいな性格なのである。

「舞台の仕事も少しやらせてもらったりしました。だから就活はせず、この仕事で生きていこうと思っていました。でも、親はなかなか本気にもしてくれませんでしたね」

 ここ半年から1年程の間に、やっと母親から「あなたの好きにしなさい」と言われたと言う。

「お互い口もきかないような時もあって、親不孝したのかなあと思いましたが、私はこの仕事を一生懸命やっていこうと決めたんです」

 タレント業も、極めれば「手に職」である。彼女は何かをつかんでいるような気もする。その後、テレビのレギュラーの仕事もやってきたのだから。

  • 出演:加藤ゆり

    1986年、三重県四日市市生まれ。2005年、東京大学理科二類に入学、1年生のとき、ミス東大に選ばれる。卒業後もタレントとして活動し、09年に日本テレビ『おもいッきりDON!』にレギュラー出演するなどテレビ、ラジオに多数出演。現在は日本テレビ『ZIP!』に週2~3回登場するレギュラーレポーターを務める。
    所属事務所公式サイト http://www.discovery-e.co.jp/model/00574.html
    オフィシャルブログ http://www.diamondblog.jp/yuri_kato/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太