運命の出会いというのはどこにあるかわからないものだな、と思う。ダーブロウ有紗の両親が出会ったのは、高田馬場のラーメン屋だったらしい。

「父はアメリカ人で、音楽をやっていて、ビートルズに憧れてイギリスに行ったり、インドに行ったりしてたらしいんです。バックパッカーだったのかな? それで高田馬場のラーメン屋で母と隣り合わせになった際に、母が『お箸で食べにくくないですか』と言ったのが話をするきっかけだったみたい。父は首からかけていたヘッドフォンをはずして『my song』と、母に聴かせたそうで」

 いい話だ。これからは私も隣り合わせた外国人には「お箸、使いにくくないですか」と聞いてみようと思った。……ええと、英語でなんていうんだっけ?

 ともあれ、二人は結婚した。なんとバックパッカーのダーブロウさんはかの初代アメリカ大統領、ジョージ・ワシントンの従兄弟の末裔だという。

 それが本当かどうか、お母様に直撃してみた。

「よくわからないけれど、ジョージ・ワシントンには子どもはいなかったそうなんです。それが本当だとしたら、有紗は9代目。一番信憑性があるのは、ベトナム戦争の前に駐在していたアメリカ大使、エルブリッジ・ダーブロウは本当に親類だということです」

 それだけでもすごい話である。「戦争するべきではない」と本国に申し立てたただ1人の人がダーブロウ大使だったらしい。

 というわけで、今回の取材には有紗のお父様にも参加してもらうことになった。それも特別な衣装で撮影に臨むのだという。我々はどんな人が何を着て現れるのかやや緊張して、井の頭公園に待機したのだった。

  • 出演:ダーブロウ有紗

    1988年、東京都生まれ。父親はアメリカ人、母親は日本人。物心つく前からモデルとして活躍、10代の頃にはカリスマ・ローティーン・モデルに。20歳を過ぎて3年間、芸能活動を休止。復帰後、タレント、モデルとして活躍中。
    http://advance-production.jp/talent/2013/12/post.html
    http://ameblo.jp/arisa-desire/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

衣装協力:ちよギャラリー http://chiyogallery.cocolog-nifty.com/
撮影協力:FLYCKA HAIR http://flycka-hair.com/
撮影:萩庭桂太