芸能界をいったん辞めてから3年間、いろんなアルバイトを経験した。どんなに世の中が不況でも美しい20歳の女のコはその気になればいろんなところで働ける。

「いろいろやりました。お好み焼き屋さんで働いたときはすごく匂いがつくので電車の中で嫌な顔をされたり。ダーツバーで店員をやったときは上手になって、カウント・アップで600スコアを出したり。でもちぐはぐな多趣味を生かせる場所はやっぱり芸能界なんだとわかりました。普通のことに憧れて普通探しをしたんだけれど、わかったのは普通なんてないんだっていうことだったんです」

 そもそも20歳の頃に芸能界をやめた理由はなんだったのか。

「何がやりたいのかわからなくなったんですよ。今思えば、感謝の気持ちが足りなかったんだと思います」

 そう言うと、透んだ瞳がみるみる潤んで、ポロポロと大きな涙がこぼれた。

「今の事務所に入ることが決まって、以前の事務所にご挨拶に行ったんです。『自分に甘かったよね』と言われて、本当にそうだったと思いました。早く以前お世話になった方々にも成長した姿を見せたい。そして今の真新しい事務所は、私が大きくするぞと思っています。大人の責任ってそういうことでしょう?」

 こちらまで胸が熱くなった。清々しい気負いだった。

  • 出演:ダーブロウ有紗

    1988年、東京都生まれ。父親はアメリカ人、母親は日本人。物心つく前からモデルとして活躍、10代の頃にはカリスマ・ローティーン・モデルに。20歳を過ぎて3年間、芸能活動を休止。復帰後、タレント、モデルとして活躍中。
    http://advance-production.jp/talent/2013/12/post.html
    http://ameblo.jp/arisa-desire/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影協力:FLYCKA HAIR http://flycka-hair.com/
撮影:萩庭桂太