「おやじバンド」ブームが始まったのは、もう4~5年前あたりからだろうか。

 NHKに「おやじバンド」のコンテスト番組が現れたり、ラジオのニッポン放送でもそのテのイベントを2年程前までやっていた。ギターやベースなど、高い楽器も中高年層に売れているのだという。私もバンドをやっているが、時々スタジオで前のバンドの忘れ物として見つける楽譜は「エメラルドの伝説」であったりする。先日もFacebookで、大阪の会社にいる還暦の知人が、東京の山野楽器までギターを買いに来ている写真を見つけた。

 さて、今週ご紹介するのは、そういうアマチュアのおやじバンドではなく、プロのおやじバンド「HUKUROH」である。

 シグナルというバンドで『20歳のめぐり逢い』などを歌い、その後、ソロのギタリストとして世界的に活躍している住出勝則。堀内孝雄と『南回帰線』をヒットさせた滝ともはる。そして、アリスのパーカッションでおなじみの矢沢透。この3人は、どうして再び出会うことになったのか。

 2010年の夏、滝が経営する横浜のライブラウンジ「パラダイスカフェ」へたまたま遊びにきた住出が飛び入り出演したのがきっかけだった。その後、ライブを行うようになり、翌春、先輩の矢沢を招き入れて3人でセッション。4月に目黒の「ブルースアレイ」でのライブを成功させたことから、同年秋にHUKUROHを結成することになったのだという。

 私が初めて彼らの音を聞いたのは、2011年10月の「ブルースアレイ」でのライブだった。誰もが知っているポップスのカヴァー。3人が若かった頃のヒット曲である。それに加えて新しくつくった曲も。優れたテクニックと長いキャリアの上で、肩の力を抜いて楽しげに演奏されるメロディが心地よく伝わってくる。深夜ラジオ黄金期に鍛えられた3人それぞれのトークにも実に味があった。

  • 出演:HUKUROH

    元シグナルで今や国内外でコンサート活動を続けるソロギタリストである住出勝則、アリスのドラマーとして知られ、数々の有名アーティストとセッションする矢沢透、『南回帰線』のヒットをもち、現在はR&Bシンガーとして横浜を中心に活動する滝ともはるの3人が結成したユニット。1月23日デビューアルバム「HUKUROH」を発売。1月20日に東京・目黒ブルースアレイ、2月14日に大阪umeda AKASOなどでライブも開催。
    http://www.hukuroh.com/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影協力:パラダイスカフェ http://www.paradisecafe2001.com/access.html
撮影:萩庭桂太