新宿というのは本当にいろんな顔をもった街だ。

 混沌とか猥雑といった言葉がとても似合う。こっちを見れば巨大な墓石みたいな都庁があるし、あっちを見れば昼間でも闇を感じる歌舞伎町がある。で、そのそばに日本のファッションを象徴する伊勢丹やルミネがあり、ゲイたちの社交場の新宿二丁目があったりする。

 どこに行っても飽きないし、知り合いも寄るべき店もないのになぜか懐かしかったりする。いったい、なんなんだろう、といつも思う。

 今週のYOUR EYES ONLYはそんな新宿の夜を舞台にした、若い役者とのフォトセッションだ。登場するのは古川雄輝。24歳。まずはインタビューということになり、我々はハイアットリージェンシーで待ち合わせた。現れたのは、かくのごときすらっとした、ちょっと生意気そうな男子であった。

 カフェに席をとると、メニューを見ていた彼がするっと言った。

「マンゴーミルク」

 なんだか、この人は新宿が似合わないな、と私は思った。新宿にあるいろんな要素と何ひとつかぶらなくて、異質過ぎて新宿に埋もれてしまわない感じ。だから面白いのかもしれないけど。この人の不思議な違和感はなんなんだろう。

 聞けばその理由は、意外に簡単だった。

  • 出演:古川雄輝

    1987年12月18日、東京生まれ。父親の仕事の関係で7歳でカナダ・トロントへ渡り、11年間、海外で過ごす。18歳で帰国、慶應大学理工学部に入学。制御理論を学び、エンジニアを目指す。09年、ミスター慶應に選ばれたのをきっかけに翌年、新人発掘オーディションで審査員特別賞。2010年夏、役者デビュー。12月には舞台『家康と按針』に出演、翌1月にはロンドン公演も決定。2013年は出演した映画『永遠の0』(山崎貴監督)も公開予定。
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/furukawa-yuki/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太