役者という仕事が楽しくてこの道に入ったものの、今はちょっと気持ちに変化が出てきた。

「最初は楽しかったけど、今は難しさが出てきたんです。大変だな、と思うことが7割くらいになってきた。自分の下手くそさも見えてくるし、やりたいことだけやっていればいいわけでもないですもんね」

 出来る事なら、将来は映画を中心にやっていきたいのだと言う。

「映画に出たいんです。でも、舞台もドラマも良さはあります。特に舞台は、年に1回くらいはやらないと芝居が上達しない気がしています。舞台は自分を磨くためにも、みっちりやれるところがいい。英語をしゃべることができるのも生かして、海外の作品にも出てみたいです」

 その夢はいきなり叶おうとしている。12月1~2日にKAAT神奈川芸術劇場、11~16日に青山劇場で上演される『家康と按針』に出演するのだが、この舞台はそのまま来年1月、ロンドンのサドラーズウェルズで公演されることになったのだ。

 古川雄輝はドメニコという宣教師の役。以前、藤原竜也も演じたことのある、重要な役柄だ。

「海外の作品に携われるすごいチャンス。これを第一段階のターニングポイントとして頑張れたらと思います。でもぼくの英語はアメリカ英語なので、イギリス英語を勉強中です」

 ロンドン公演は1月31日から10日間もある。「ちょっとホームシックになっちゃうかも」と、つぶやいた。

  • 出演:古川雄輝

    1987年12月18日、東京生まれ。父親の仕事の関係で7歳でカナダ・トロントへ渡り、11年間、海外で過ごす。18歳で帰国、慶應大学理工学部に入学。制御理論を学び、エンジニアを目指す。09年、ミスター慶應に選ばれたのをきっかけに翌年、新人発掘オーディションで審査員特別賞。2010年夏、役者デビュー。12月には舞台『家康と按針』に出演、翌1月にはロンドン公演も決定。2013年は出演した映画『永遠の0』(山崎貴監督)も公開予定。
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/furukawa-yuki/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太