黙っているときと、話したときの印象がちょっと違う。それはいろんな人に言われるらしい。

「初対面の人には『こわいね』とか『話しかけてまずかったかな』とか言われます。『近づいちゃいけないオーラ出してるね』と言われたこともあります。ショックなのは女性にも『何考えてるかわかんない』と言われたこと。くだらない事しか考えてないのに!(笑)だから、女子にはモテないですよ。積極的に話しかけたりしないし」

 本人はちょっと不本意らしい。そこでこんなふうに自分を鍛えることにした。

「人間力を鍛えるために、1回しか会ったことがないような人の誕生日会に乗り込んだりしますよ。でも結局、人に声をかけたりできず、だったり……(笑)」

 じっくり話すととても面白いのに。もったいないことである。自分のやりたいことを決めた人の真摯な瞳を、遠くから見つめている女性もおそらくたくさんいるだろうと思うのだが。

「やっぱ空気読まなきゃ、ダメかなあ……。Going my way じゃダメなのかなあ」

 みんなで吹き出して笑った。いや、どうなんだろう。彼のまっすぐで、曲がりくねっていないやり方もいいんじゃないのかな。そう、たぶん、彼のそういうところが、新宿の混沌の中で妙にまぶしいんだろうと、私はやっと気がついた。

  • 出演:古川雄輝

    1987年12月18日、東京生まれ。父親の仕事の関係で7歳でカナダ・トロントへ渡り、11年間、海外で過ごす。18歳で帰国、慶應大学理工学部に入学。制御理論を学び、エンジニアを目指す。09年、ミスター慶應に選ばれたのをきっかけに翌年、新人発掘オーディションで審査員特別賞。2010年夏、役者デビュー。12月には舞台『家康と按針』に出演、翌1月にはロンドン公演も決定。2013年は出演した映画『永遠の0』(山崎貴監督)も公開予定。
    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/furukawa-yuki/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太