今回は、この写真の通り、一見、渋谷のチーマー(この言葉は今もあるんでしょうか?)かと思えるような輩たちである。

 撮影は渋谷のど真ん中で行われた。残暑厳しいある日の午後、我々はスクランブル交差点前のスタバで待ち合わせたのであった。

 だいたい私は今回の取材がいったいなんなのか、今ひとつ理解できていなかった。なんでもいろんなジャンルで、世界一になった人たちなんだという。いろんなジャンルというのが、ダンスみたいなバスケとか、自転車を曲芸みたいに乗る人とかだというのだ。萩庭桂太は興奮していた。

「なんか、すごそうなんだよー」

「それは……、大道芸みたいなものですか」

「いや、大道芸じゃないんだよ」

「……」

 噛み合わない会話を延々していると、わらわらとワルそうな男の子たちが集まって来た。

「あ、来ましたね、あの人たちが、そうですね」

 ひょっとしたら撮影とか取材とかいうのは嘘で、萩庭桂太と私はオヤジ狩り、おばはん狩りに遭うのではないかとドキドキした。

「はじめまして、TOKYOcreatistのuCCIです」

「ウ、ウッチーさんですか……、よ、よろしくお願いします」

 びびっていると、uCCIはにんまり笑った。よく見ると憎めない童顔である。だが、髪型が普通ではない。てっぺんでお団子になっていて簪を刺している。ちょんまげの変形だ。ひょっとしたらこの人が世界一なのは、この髪型か。

「ぼくはTOKYOcreatistのクリエイティスト。プロデュースやディレクションをしています。いろんなジャンルのパフォーマンスを組み合わせて、ショーを作っているんです」

 uCCIはもともとダンサーだったという。ブレイクダンスとチャップリンのパントマイムみたいな演技を組み合わせたりして踊っていた。そのうち、参加するイベントで「様々なジャンルの世界チャンピオンがいる」ことを知った。

「DJとして世界チャンピオンになったヤツ。フリースタイルバスケでチャンピオンになったやつ。ウェブで検索して探したんじゃなくて、口コミとかリアルな出会いで集まってきました。そういうヤツらが集まったら、パフォーマンスの影響力も高まっていくんじゃないかと思ったんです。だいたい、パフォーマーって低く見られていますから。単体だと大道芸みたいな扱いになることもある」

 すみません。私も誤解していました。と、びくびくしていると、uCCIはまたにんまり笑った。

「それぞれのジャンルのチャンピオンが集まって、考えて行動して世界を舞台にパフォーマンスする。そういう文化的なチームになって、世の中に影響を与えていきたいんです」

 私はすごいものが見られるのではとドキドキしながらも、まだ彼の髪型が気になってしかたなかったのであった。

  • 出演:uCCI

    1980年東京都生まれ。湘南に育ち、3歳のとき、突発性難聴により両耳の聴力を失う。独自のダンススタイルをもち、RUN-DMCと共演するなどアーティストとしても世界的に評価されている。TOKYOcreatistのプロデューサー、クリエイターとしても様々なキャスティング、プロジェクトで活躍中。
    WEB:digress-lab http://www.digress-lab.com
    FACEBOOK:https://www.facebook.com/uCCIcreatist
    TWITTER:@uCCIcreatist

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

SPECIAL THANKS:
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撮影:萩庭桂太