最後に登場するのは自転車である。

 自転車で飛んだり跳ねたり、後輪だけで立ち上がったり。さながら、自転車のブレイクダンスである。

 IKEは14歳のとき、公園でこの自転車のダンスみたいな「BMX」を練習している人たちを初めて見た。

「自転車がパフォーマンスになってるんですよ! 驚きましたね。ぼくは運動神経もさほどよくなく、努力できる性格でもなかった。それにBMXは転ぶか成功するかの二つにひとつですからね。でも昨日できなかったことが、練習すれば今日できるようになる。少しずつだけど、その達成感が楽しくて。それから毎日練習して、17歳のとき、日本で開催されたBMXの世界大会に出場しました」

 その後、18歳でプロになり、19歳で再びチャレンジした世界大会で優勝した。

「今はNHKで子どもたちの自転車教室をしたりもしています。まずは自転車にきちんと乗れるようになったほうがいい。実はぼく自身、小学生のときに自転車で鎖骨を折ったことがありまして。ちゃんと乗れるようになって、それからのBMXですよね。BMXを通して子どもたちにまずは夢中になれること、世界に挑戦する魅力、面白さを伝えていきたいです」

 夢中になれること。それに出会えない人たちは、いっぱいいる。

 彼らを見ていて思うのは、何か夢中になれることに出会って、その中で挫折を繰り返しながらも自分を高めることができた、という幸せだ。純粋な子どものような目をした人たち。チャンピオンに共通するものは何かと、全員に問うてみた。

「自分から提案できて、行動を起こせるヤツら」

「うん、ダメな人は呼ばれるのを待ってるよね」

 もちろん、才能というのはあるだろう。

 でもこれだけいろんなジャンルに世界一があるのだから、ひょっとしたら誰にでもそんな才能は潜んでいるのかもしれない。

 TOKYOcreatistの面々を見ていると、日本人は捨てたもんじゃないし、人生もまた捨てたもんじゃない、と元気が湧いてきたのであった。

 世界に向かって心と才能を開いたおたくたち。こういう人たちが「日本人」であることを誇りに思う。

  • 出演:IKE

    1990年東京都生まれ。2010年、19歳の若さにしてスペインで開催されたBMXの世界大会で優勝。2011年テレビ番組の企画で自転車に乗って1分間のスピン回転数でギネス世界記録を達成。あの「シルク・ドゥ・ソレイユ」にも、スカウトされ所属アーティストとして認定される。国内外のイベントはもちろん、文部科学省のプログラムなどにも招聘されている。
    TOKYOcreatist http://www.TOKYOcreatist.com
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    twitter @takahiroIKEda

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

SPECIAL THANKS:
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撮影:萩庭桂太