お次はヨーヨーである。KOHTAは’96年から ヨーヨーを始めた。

 そういえば、萩庭桂太や私が子どもだった頃も、スーパーヨーヨーが流行ったことがある。あれは’70年代の終わり頃であったか。

「コカコーラの絵が描いてあったやつでしょ。ぼくだって『犬の散歩』くらいできるよ」

 萩庭桂太はそう自慢した。確か「犬の散歩」というのは、ヨーヨーを床に転がし、犬を散歩させるように後ろに引きずってするっと手元に戻すという技であったと思う。それがどれくらいの難度の技だったかは忘れてしまった。が、「やらせてくれ」とも言わなかったので、本当にできたのかどうかも疑わしい。

 どうやらヨーヨーを見るうちに心が中2に戻ってしまい、負けず嫌いなことを口走ったのだと思う。

 KOHTA少年はおそらくリッチな家庭に育ったらしく、小学生のとき、家族旅行でハワイに行ってカイトショップに置いてあるヨーヨーに興味をもった。

「その後、ぼくが小5のとき、97年にヨーヨーブームが起こるんです。それはそのカイトショップの人も呼ばれたらしいのですが、バンダイが仕掛けたようですね」

 ヨーヨーには片手、両手、ヨーヨーと糸が別々なものなど、プレイスタイルが5つあるが、大会では片手でプレイすることがメインだという。今のKOHTAのヨーヨーは特注で、重さは68グラム。投出しの手応えが、それがベストなのだそうだ。

「TOKYOcreatistのみんなとやれる楽しさは、お互いにリスペクトできることと、他のジャンルを見ていて自分のヨーヨーでの発見があること。それに、ヨーヨーをやっていなかったら会えなかった人たちと会えること。ぼくにとってヨーヨーはコミュニケーションツールなのかもしれません」

 ヨーヨーを投げ出すときにも、そのモノが、まるで自分の分身であるかのように扱っていた。

  • 出演:KOHTA

    1985年東京都生まれ。96年からヨーヨーを始め、99年頃から国内有数のトップチーム「others」に所属。2011年、ヨーロッパ大会のオープン部門で優勝。02年、最も古い歴史をもつヨーヨーメーカー、Duncan Toysと契約。
    44CLASH http://www.44clash.com
    facebook https://www.facebook.com/KOHTA44 (facebookにログインすると見られます)
    twitter @kohta44

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

SPECIAL THANKS:
emigrette http://www.emigrette.com
Duncan Toys http://www.yo-yo.com
KIKSTYO http://kikstyo.com

撮影:萩庭桂太