2014年内のアルバム・リリースを目指し、澤田かおりは作詞作曲の毎日を送っている。

「自宅では、目の前にパソコン、右にキーボードを置いて、作業を行っています。メロディも言葉も、何日苦しんでも書けない時もあれば、ある日、ふと、音と歌詞が同時にふってくることもあります。不思議ですよね」

 澤田のメジャーデビューは14年だが、それ以前のインディーズでの音楽活動でたくさんの曲を書いて歌っている。それらをレコーディングするという発想はないのだろうか――。

「すでに70曲くらいは完成していて、中にはライヴで歌う曲もあります。どれも大切な作品です。でも、新しいアルバムには新しい曲を収録したい。今感じていることを歌いたいからです」

 最新シングル「I’m home.」は、メロディと歌詞が突然降ってきた。

「なぜだろう、昨年、ふと、かつて半年だけ暮らしていたニューヨークへ行きたくなったんです。その思いを抑えられなくて、1人で飛行機に乗りました。09年に帰国してから初めてのアメリカでした」

 かつてアパートを借りていた39丁目レキシントン・アヴェニュあたりを歩いたり、よく通っていた14丁目のチョコレート・バーのマックス・ブレナーに寄ったり、ジャズクラブのジンク・バーでジャムセッションを楽しんだ。アメリカから帰国してまだ4年しか経っていないのに、懐かしい気持ちに包まれた。

「ああ、ここも私のホームタウンなんだ」

 そう思ったら、メロディと歌詞が生まれてきた。

「今、この音をかたちにしたい!」

 すぐにスタジオを借りて、アップライトピアノを弾きながら書いたのが『I’m home.』だった。その時、リアルに感じた気持ちがそのまま1曲になった。

「こういう思いのこもった作品を1曲ずつ生んでいって、シンガーソングライターとしてのキャリアを重ねていきたいですね」

 澤田かおりの次のライヴは7月3日(木)、東京渋谷の「Shibuya gee-ge.」で行われる。

『I’m home.』

発売中(2014年1月18日発売)
CD 1,000円+税 HUCW-10510
https://www.youtube.com/watch?v=rvEhEVWi7oc

  • 澤田かおり

    1985年、米ワシントン州シアトルで生まれる。3歳からクラシックピアノ、エレクトーン、作曲をヤマハ音楽院学ぶ。桐朋女子高等学校作曲専攻卒業。2005年に渡米、ハーバード大学サマースクールEnglishプログラムを受講した後、マサチューセッツ州ボストンにある音楽の名門バークリー音楽院入学。09年に帰国。13年に音楽を手掛けた東芝「LED10年カレンダー」のCMが複数の広告賞を獲得する。12年にインディーズレーベルから、アルバム『PRISM』をリリース。13年にMISIAのデビュー15周年ツアーにコーラスで参加。14年は井上陽水の「氷の世界」ツアーにコーラスで参加。最新作は『I’m home.』(ハッツ・アンリミテッド 3曲入り¥1,000+税)。7月3日に東京・渋谷「shibuya gee-ge.」でライヴを行う。
    http://kaorisawada.com/

  • 取材・文:神舘和典

    1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生存したジャズミュージシャンをほぼインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。

    新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
    幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html

ヘアメイク:西田裕美子 https://www.facebook.com/yumikonishida.deuce
撮影:萩庭桂太