子育てを終え、新たに音楽をスタート
スザンヌ・ヴェガ
- Magazine ID: 1432
- Posted: 2014.05.02
スザンヌ・ヴェガは今もニューヨークで暮らしている。
「言葉をつむぎ、メロディを生むには、ニューヨークは最高の環境です。ありとあらゆるカルチャーやエンタテインメントがあるからです」
代表曲「トムズ・ダイナー」も「ルカ」も、ニューヨークにいるからこそ生まれた曲だ。
最新作『テイルズ・フロム・ザ・レルム・オブ・ザ・クイーン・オブ・ペンタクルズ(ペンタクルの女王の物語)』のジャケットやライナーノーツの写真もニューヨーク郊外のアパートメントで撮影した。
「つい先日は、西33丁目のマディソン・スクエア・ガーデンで、スティングとポール・サイモンのコンサートを観ました。スティングがポール・サイモンの、ポール・サイモンがスティングの曲を歌うセットリストで、とても楽しいステージでした。私の好きな『サウザンド・イヤーズ』も歌ってくれました」
音楽だけではなく、MCでの掛け合いも満喫した。
「僕とスティングはもうずいぶん長くライヴをやっているから、やがて2人は入れ替わって、僕がスティングのようなルックスになるかもしれない」
「ポール、それはあり得ないよ」
そんなやりとりにお腹を抱えて笑った。
バックヤードにも激励に訪れた。
「スティングは、メディアを通してのイメージ通りのスティングで、ダンディで、寡黙なままくつろいでいました。彼の奥さんと私は親しいのですが、彼女によると私の新作はロンドンで大々的にプロモーションをしているらしい。スザンヌ・ヴェガが帰ってきた! って。すごく嬉しかった」
2年前に娘が大学に入ったことをきっかけに、スザンヌの音楽活動は活発になってきている。2012年はビルボードライブで、13年はフジロックフェスティバルで公演を行った。
今年も東京と大阪で公演をおこなったので、3年連続で来日している。
「この18年は、音楽を続けてはいましたが、世の中の多くの母親と同じように、子ども優先の生活です。でも、これからは、もっと新しい歌詞を書き、音楽をつくり、できることならば本も書いてみたい。やりたいことばかり。わくわくしています」
『テイルズ・フロム・ザ・レルム・オブ・ザ・クイーン・オブ・ペンタクルズ(ペンタクルの女王の物語)』
発売中(2014年1月29日発売) CD 2,200円+税 BRC-406
http://www.beatink.com/Labels/Cooking-Vinyl/Suzanne-Vega/BRC-406/
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スザンヌ・ヴェガ
シンガーソングライター。1959年米カリフォルニア州出身。生後すぐにニューヨークへ移住。85年にアルバム『街角の詩』でデビュー。その文学的なテイストが話題となる。87年のアルバム『孤独』、そしてシングル曲の「トムズ・ダイナー」「ルカ」が世界的にヒットした。その後も「マレーネの肖像」「キャラメル」「ジプシー」など数々のすぐれた曲を生み続けてきた。2013年に来日して出演したFUJI ROCK FESTIVALのステージも大変な盛り上がりとなった。最新アルバムは『テイルズ・フロム・ザ・レルム・オブ・ザ・クイーン・オブ・ペンタクルズ(ペンタクルの女王の物語)』(クッキング・ヴァイナル/ビート・レコーズ ¥2,200+税)。
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取材・文:神舘和典
1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生存したジャズミュージシャンをほぼインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。
新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html
撮影:萩庭桂太