外国人の多い六本木にいると心が落ち着く
スザンヌ・ヴェガ
- Magazine ID: 1431
- Posted: 2014.05.01
4月7日、東京六本木のEXシアターで、スザンヌ・ヴェガの来日公演が行われた。
ギタリストを1人だけともないステージに現れたスザンヌは、コム・デ・ギャルソンのパンツスーツ姿。
「私は黒が好き。黒を着ていると心が落ち着いて、自分らしさを感じることができるからです」
この気持ちは、新作『テイルズ・フロム・ザ・レルム・オブ・ザ・クイーン・オブ・ペンタクルズ(ペンタクルの女王の物語)』の「アイ・ネヴァー・ウェア・ホワイト」でも歌われる。
「肌が白いせいなのかもしれませんが、白を着ると落ち着かないんです。白い壁と自分が同化して、やがて消えてしまうような気がします」
コンサートの1曲目は「マレーネの肖像」。
スザンヌの代表曲の1つだ。
そして「キャラメル」「クラック・イン・ザ・ウォール」「スモール・ブルー・シング」「ジプシー」「女王と兵士」「ソング・オブ・ザ・ストイック」「アイ・ネヴァー・ウェア・ホワイト」……などが歌われた。
本編のラストは、1980年代の代表曲の「ルカ」と「トムズ・ダイナー」。アンコールは「ホライズン」と「ローズマリー」だった。
年齢層が高い客席からはインテリジェンスが感じられた。
「日本のオーディエンスは音楽に集中してくれるから好きです。ありがたい気持ちになります。客席が熱狂しないと不安になるミュージシャンもいるみたいですけれど、私自身もじっくり音楽を聴きたいタイプです。日本人リスナーはツイッターでもたくさんのメッセージをくれます。会場では集中してじっと音楽を聴いて、ツイッターでは熱狂的な感想をくれるんです」
今回の来日公演は東京と大阪で行われたが、東京のスケジュールは会場も宿泊も六本木だった。
合間に行ったプロモーション活動も、J-WAVEなど六本木のスタジオが中心。六本木には居心地のよさを感じるという。
「おそらく外国人が多いからでしょう。私は10回くらい来日していますが、初めて日本を訪れた80年代はまだ外国人が珍しくて、すれ違う人がみんな私をじっと見ていました。でも、30年で、そういうことはまったくなくなりました。特に六本木は外国人が珍しくないので、食事も落ち着いて楽しめます。今日も六本木ヒルズで天ぷらうどんを食べました」
『テイルズ・フロム・ザ・レルム・オブ・ザ・クイーン・オブ・ペンタクルズ(ペンタクルの女王の物語)』
発売中(2014年1月29日発売) CD 2,200円+税 BRC-406
http://www.beatink.com/Labels/Cooking-Vinyl/Suzanne-Vega/BRC-406/
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スザンヌ・ヴェガ
シンガーソングライター。1959年米カリフォルニア州出身。生後すぐにニューヨークへ移住。85年にアルバム『街角の詩』でデビュー。その文学的なテイストが話題となる。87年のアルバム『孤独』、そしてシングル曲の「トムズ・ダイナー」「ルカ」が世界的にヒットした。その後も「マレーネの肖像」「キャラメル」「ジプシー」など数々のすぐれた曲を生み続けてきた。2013年に来日して出演したFUJI ROCK FESTIVALのステージも大変な盛り上がりとなった。最新アルバムは『テイルズ・フロム・ザ・レルム・オブ・ザ・クイーン・オブ・ペンタクルズ(ペンタクルの女王の物語)』(クッキング・ヴァイナル/ビート・レコーズ ¥2,200+税)。
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取材・文:神舘和典
1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生存したジャズミュージシャンをほぼインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。
新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html
撮影協力:J-WAVE 81.3FM http://www.j-wave.co.jp
撮影:萩庭桂太