プロデューサーとしてもヒット連発した1980年代。
角松敏生
- Magazine ID: 1419
- Posted: 2014.04.10
角松敏生というと、自分名義のシンガーソングライターとしてよりも、プロデューサーとしての作品に親しみを持つリスナーも多いかもしれない。
プロデューサーとしての代表作は、杏里の「CAT’S EYE」「悲しみがとまらない」、中山美穂の「CATCH ME」など。
また、覆面バンド“AGHARTA”で長万部太郎名義で歌い、V6がカバーした「ILE AIYE~WAになっておどろう」は、長野オリンピックの公式テーマソングに。閉会式では各国選手団の大合唱になった。
「僕はね、自分名義のシングルヒットがないんです。アルバムに徹してきたので」
杏里や中山美穂はアルバムもプロデュース。
ヒットさせた。
「杏里の『TIMELY!!』の時は、まず『CAT’S EYE』がヒットして、もう1曲ヒット曲を作れ、と言われて、『悲しみがとまらない』をやりました」
杏里の代表曲の1つ、「悲しみがとまらない」の作詞は康珍化、作曲が林哲司。
上田正樹「悲しい色やね」、中森明菜「北ウイング」、杉山清貴&オメガトライブ「ふたりの夏物語」など数々の大ヒットを生み出したゴールデンコンビだ。
歌詞については「彼氏を友達に奪われる歌詞を書いてほしい」と依頼した。
身近に実例があり、すごくリアリティを感じたからだ。
「康さんはね、タイトルだけがずらっと並んだリストを見せてくれるんです。どれにしましょうか? と。その中から歌詞にマッチする『悲しみがとまらない』を選んでもらいました」
曲はモータウン風をリクエストした。
「林さん、モータウン、来てますよね、あれで」
「うん。わかるわかる」
すぐに意思の疎通ができて、「悲しみがとまらない」は狙い通り大ヒットした。
「アルバム『TIMELY!!』はこの2曲が歌謡曲に近くて、あとは僕自身のテイストの曲でまとめました」
角松は5月から新譜『THE MOMENT』を携えて全国14都市16公演のツアーに出る。
約2時間半のステージの、約1時間は新作、1時間半はプロデュース作品も含めた曲を歌う予定だ。
『THE MOMENT』
発売中(2014年3月19日発売)
CD 3,100円+税 BVCL-30017
http://www.sonymusic.co.jp/artist/ToshikiKadomatsu/discography/BVCL-30017
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角松敏生(かどまつ・としき)
シンガーソングライター、音楽プロデューサー。1960年東京都出身。81年にシングル「YOKOHAMA Twilight Time」とアルバム『SEA BLEEZE』でデビュー。『ON THE CITY SHORE』『TOUCH AND GO』『BEFORE THE DAYLIGHT』『REASONS FOR THOUSAND LOVERS』『あるがままに』など多くのアルバムをヒットさせる。プロデューサーとしても活躍。長万部太郎としてAGHARTA名義で歌った「ILE AIYE~WAになっておどろう」、杏里の『Bi・Ki・Ni』『TIMELY!!』『COOOL』、中山美穂の『CATCH THE NITE』がヒット。最新作は2014年3月19日にリリースした『THE MOMENT』(アリオラジャパン 3,100+税)。5月9日から全国14都市16公演のツアー「performance 2014 “THE MOMENT”」をスタートする。7月19日、20日には軽井沢大賀ホールで「Tripod V」ライヴも行う。
http://www.toshiki-kadomatsu.jp/ -
取材・文:神舘和典
1962年東京都出身。音楽を中心に書籍や雑誌のコラムを執筆。ミュージシャンのインタビューは年間約70本。コンサート取材は年間約80本。1998年~2000年はニューヨークを拠点にその当時生存したジャズミュージシャンをほぼインタビューした。『ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)、『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)、『上原ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)など著書多数。2002年には角松敏生著『モノローグ』(毎日新聞社)をインタビュー構成。
新潮新書 http://www.shinchosha.co.jp/writer/1456/
幻冬舎新書 http://www.gentosha.co.jp/book/b4920.html
撮影:萩庭桂太