「音楽もファッションも60年代が大好き」という松浦雅のたっての希望で、今回のフォト・セッションはヘアメイクもファッションも60年代風に作り込んだ。

「『私の希望で企画を考えていいんだって』と、母と話し合って、パティ・ボイドにしてもらったら、ということになったんです」

 パティ・ボイドとは、1944年生まれのイギリスのモデル。ビートルズのジョージ・ハリスンと結婚し、その後離婚して、エリック・クラプトンとも結婚したという、ロックシンガーに愛されがちな女である。外見の派手さとは裏腹に献身的な女性だったようだ。

「ミュージシャンに好かれる女、を演じてみたかったんです」

 なんとなく、パティ・ボイドの生き方にひかれるものもあるらしい。自分も、何か突出した才能のある男性が好きだという。

「何か一つ、人よりも優れたことがある人。それがあったら、私は他のことは許せます。ちょっといらいらして八つ当たりされるくらいは我慢しますよ」

 でもさ。……また意地悪なインタビュアーは意地悪な質問をひねり出す。でもね、才能があっても世の中に認められなかったら、どうする? 頑張っても成功しなかったらどうする?

「あ……。ある程度、結果はいりますね。うん。その才能でちゃんとご飯を食べている人がいいです! 現実的? そうですね」

 はい、それでこそ関西の女です。

「私も、女優でご飯を食べていきたいです。それがダメなら私はどこへ行けばいいんだろう。女優になることにすべてを絞り込んできたから。他にやりたい事が出てくる予感もないし、気配もない」

 いやいや、もう誰も松浦雅から演じることを取り上げることはできない。

  • 松浦雅

    1995年兵庫県生まれ。2012年、第1回JUNONプロデュースガールズコンテストで初代グランプリに。13年に「西原理恵子演劇祭2013!!」の2作品で女優として初舞台を踏み、続けてミュージカル「美少女戦士セーラームーン」舞台「鬼切姫 第ニ章 来るべき日」と舞台4作品に出演。14年、NHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』でヒロインの娘役・ふ久役を演じ、人気を博す。
    公式ブログ http://ameblo.jp/miyabi-matsuura/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:SHIGE
スタイリスト:山本隆司
衣装協力:DRESS、tiit、KINSELLA
撮影:萩庭桂太