『ごちそうさん』がクランクアップした翌日、高校の卒業式だった。

「私の友達は初登場のときは『見たよ』と言ってくれました。『小学校のときの、おさげの雅のままだったから、懐かしかったよ』と。私が表に出る人間じゃないときから知っていて、芸能人扱いしない人たち。『出れてよかったね』と言ってくれて嬉しかった。でもしばらくしたら『ごめん、最近見てない』と正直に言うし(笑)」

 兵庫県出身。大阪が舞台のドラマだっただけに、地元でも声をかけられるようになった。

「おばさんたちが8人くらいでランチしていて『あ、ふ久ちゃーん』と大きな声をかけられました。ちょうどドラマで出産した日で『出産おめでとう~』と言われて(笑)。一瞬、私自身なのかふ久なのかどっちで話せばいんだろうと迷って、思わずふ久になって『ありがとうございます~』と言ってました」

 18歳。すっぴんで、マスクも忘れて外に出ることも多い。

「スーパーで真剣に玉ねぎを選んでて『あ、マスクしてない』って気づく、みたいな(笑)。自転車乗りながら『A Whole New World』を歌っちゃってることもある(笑)。ミュージカルが大好きなので、街中で、みんなが突然歌い出したりしないかなーなんて妄想したりしています。誰かが歌い出すと共感した人が少しずつ歌い出す、みたいな、あの世界観が好きなんです」

 妄想癖も、ちょっとふ久に似ているようだ。

  • 松浦雅

    1995年兵庫県生まれ。2012年、第1回JUNONプロデュースガールズコンテストで初代グランプリに。13年に「西原理恵子演劇祭2013!!」の2作品で女優として初舞台を踏み、続けてミュージカル「美少女戦士セーラームーン」舞台「鬼切姫 第ニ章 来るべき日」と舞台4作品に出演。14年、NHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』でヒロインの娘役・ふ久役を演じ、人気を博す。
    公式ブログ http://ameblo.jp/miyabi-matsuura/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:SHIGE
スタイリスト:山本隆司
衣装協力:DRESS、tiit、KINSELLA
撮影:萩庭桂太