1613年、支倉常長は伊達政宗の命により慶長遣欧使節団の大使としてスペインに向けて旅立ち、翌年スペインに到着、国王フェリペ3世への謁見を果たした。つまり2014年は日本とスペインの国交樹立400年目。そこで昨年から今年にかけて「日本スペイン交流400周年事業」が行われている。

 13年6月11日、マドリードのテアトロ・レアル(王立劇場)で「日本スペイン交流400周年開幕記念音楽会」が開催された。川上ミネさんは芸術監督を務め、メインソリストとしてステージに出演。日本の皇太子、スペインのフェリペ皇太子夫妻も臨席し、彼女の演奏に耳を傾けた。

「スペインに行ったときに2つの夢を持ちました。サンチアゴ・デ・コンポステラの大聖堂と、王立劇場で演奏することです」

 サンチアゴ・デ・コンポステラはサンチアゴ巡礼道の終着地だ。大聖堂を含む旧市街は世界遺産に登録されている。10年にミネさんは巡礼道の30カ所で奉納演奏を行ない、1つ目の夢を叶えた。

 そして昨年、ついに王立劇場で、支倉常長がスペインに到着するまでの長い長い旅を綴った壮大な楽曲「ソナタ 侍」を演奏した。

「支倉常長が通った道というのが、偶然、私が訪れてきた土地と重なるんです。だから、この人の曲を書けるのは私しかいない、と思いました」

 また、支倉常長がスペインに派遣されたのは、1611年に慶長三陸地震が奥州沿岸(現在の三陸沖)を襲った2年後にあたる。奇しくもその歴史は2011年の東日本大震災と重なり、2年後に迎えた国交樹立400周年がより意味深いものに思えてくる。

 14年7月には「日本スペイン交流400周年事業」の閉幕式が行われる。ミネさんはそのステージで支倉常長の往路から現在に至るまでの、さらに壮大な曲を演奏する予定になっているという。一体どんな曲なのか?

「今はまだ曲が見えていない状態です。これから、支倉常長が訪れて私が行ったことがない唯一の土地であるフィリピンに行ってみようと考えています」

 どうやら、曲づくりに苦戦している模様のミネさん。そもそも音楽家の作曲は、どんな場所で行われるのだろうか。

  • 出演:川上ミネ

    ピアニスト・作曲家。ドイツ・ミュンヘン国立音楽大学ピアノ科卒業。スペイン・マドリッド王立音楽院ピアノ科卒業。元キューバ国立音楽大学講師。京都とマドリッド(スペイン)に拠点をおきながら日本・スペインを中心に世界各国において演奏・作曲活動を行っている。2004年にはグラミー受賞ピアニスト、チューチョ・バルデスと共演し、キューバで大成功を収めた。日本においても05年、“愛・地球博”のオフィシャルマスコット「モリゾーとキッコロ」のテレビアニメの全ての音楽制作を務めるなどの事業に参画。2013年には日本スペイン交流400周年記念事業の公式テーマ音楽担当として公式オリジナルテーマを作曲し、日本スペイン交流400周年開幕記念式典での芸術監督を務めた。この音楽会はスペイン全国に於ける「国が最も推薦するコンサート」として、全国公立劇場のネットワーク(La red de teatros nacional=通称ラ・レッド)に推奨された。NHK Eテレで放送中の「猫のしっぽ カエルの手 京都 大原 ベニシアの手づくり暮らし」の音楽を担当、その楽曲を収録した4枚目のソロアルバム『馨(かおり)』(10年)は、自然と共に生きるベニシアさんのライフスタイルに溶け込むような曲ばかりが収録されている。また、13年公開の映画『ベニシアさんの四季の庭』のサウンドトラックをピアノ一台で仕上げたことも話題になった。14年3月11日には世界遺産であるスペイン・コルドバのメスキータ「聖マリア大聖堂」にて祈りのコンサートを開催する。ボリビアなど南米を中心に音楽を通して国際交流する演奏活動も展開している。

    MINE KAWAKAMI ホームページ
    http://www.minekawakami.com
    日本スペイン交流400周年開幕記念音楽会(日本スペイン交流400周年公式サイト内) http://www.esja400.com/jpn/今井翼×サムライ支倉 大いなる旅への挑戦

  • 取材・文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
    https://www.facebook.com/mi.company

撮影協力:セルバンテス文化センター東京 http://tokio.cervantes.es
撮影:萩庭桂太