ミス・ユニバース・ジャパンのファイナリストたちを追う、テレビのドキュメンタリー番組を見たことがある。1カ月間、毎日長時間にわたって繰り返される厳しいレッスン。決勝に残った女性たちは、ひたすらストイックにトレーニングに励む。

「実際はテレビで見るより、もっと大変です! 本当に過酷で、厳しかった。一番つらかったのは、自分自身と向き合わなければいけないこと。普段は自分で見ないようにしている欠点を目の当たりにして、認めなければ先に進めない。それはもう、レッスンよりもずっとつらい経験でした」

 大雑把で気分屋の自分が嫌い。だけどそんな自分から目を背けていたという。「お菓子作りに励んでいたのは、そんな自分を否定したかったのかも」と彼女は言うが、ケーキは的確な分量でなければ上手くできないので、根はこまやかで生真面目な人ではないか。

 ファイナリストたちと生活をともにするうちに、食の大切さにも気づいたそうだ。無理な食生活で体をこわした人もいた。そして、人は食べるものによって顔つきまで変わってしまうことに気づいた。そのときはまだ、それを不思議だと思うばかりだったが。

「私自身は、母と二人三脚で臨んでいたので、母の料理に助けられました。どんなに精神的につらくても、体が健康だったから耐えられたんです」

 決勝大会を終えて栄養士をめざすが、一度社会人を経て、学生生活から離れていたこともあって、なかなか学習のペースがつかめなかった。しかも、覚えなければいけないことはたくさんある。

「栄養学は、新しい研究結果が次々と出てきますから、今も日々勉強です」

 最近では、栄養学の最新情報を得るためにアメリカの研究学会に出席することもあるそうだ。もちろん、美容栄養アドバイザー、サプリメントアドバイザー、フードコーディネーターとしての仕事や、講演会など、さまざまな仕事をこなしながら。

 話を聞いていると本当に忙しそうな石坂さん、オンとオフの切り替えはどのようにしているのだろうか。

  • 出演:石坂優子

    美容栄養アドバイザー/ミス・ユニバース・ジャパンファイナリスト。決勝進出の体験をきっかけに美容と食の深い関わりあいに興味を持つ。その後、栄養士になるために進学。栄養・調理・美容について学びながら、レストランの厨房やフードコーディネーターのアシスタントなど様々な食の経験を積み、栄養士とサプリメントアドバイザーの資格を取得。2010年よりミス・ユニバース・ジャパントレーニング講師(美容栄養学)として後輩たちに食事のトレーニングを行う。現在はその経験を生かして美容栄養アドバイザー、フードコーディネーターとしても活躍中。著書に『おいしい!ヘルシー!ヨナナスレシピ』(池田書店)、『美健丼 美味しく食べて健康になる丼レシピ 53』(ダイヤモンド社)ほか。1月29日に最新著書『LOVE & COOK 彼が「決意」する愛の美食レシピ』(実業之日本社)発売。
    カレーラ(所属事務所) http://www.carrera-co.jp/
    オフィシャルブログ「ASHITAMOKIREI」 http://ameblo.jp/yukoishizaka/

  • 取材・文:加藤いづみ

    コピーライター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画のほか、1996年より某企業のPR冊子(月刊)制作を継続して手がけている。
    https://www.facebook.com/mi.company

撮影:萩庭桂太