メガネが似合うというのは、賢い人だと一般的に勘違いされやすい。その前に顔の造形が似合う似合わないを決めているのである。

 しかし米田弥央の場合は、正真正銘に、勉強のできる女性だった。早稲田大学理工学部卒。おまけに大学院にまで行った筋金入りだ。

「芸能界ではまったく役に立たない学歴です。しかも浪人時代に予備校で習った物理がものすごく面白いと思ったのに、入学したら全然違うものだったんです。つまりですね、受験のための物理はクイズのように答えがあるんです。それが面白かった。でも大学での物理は答えがない。それにまず恐ろしく難しい数学から始まって、心が折れていきました。地味なことをやっていましたね」

 もともと、勉強に必死になったのは、県民性と母親の教育だったという。

「母親はすごく学歴にこだわりました。少しでもいい公立高校にというのは、富山の県民性かもしれません。私は3人きょうだいの一番下でしたけど、母親にほめてもらいたい一心なところがありました。ガツガツ鼻血が出るくらい勉強しました」

 中学3年からスパルタ塾に通い、念願の難関の公立高校へ。ところがそこで安心してしまい、高校では三百数十人中300番台という成績に。

「そういう頭のいい人たちが多い学校は、成績が悪い人たちを差別したりもしない。それはよかったですね。チーム300番台って感じで、友達ができて、写真を撮り合ったりガールズバンドを作ったりして遊んでました。女のコでドラムってかっこいいかな、と思ったんだけど、リズムが一定じゃなかったですね……(笑)」

 精神的に解放された高校時代だったのだろう。私が老婆心から、素敵な初恋もあったのかな、とふってみた。

  • 出演:米田弥央

    1978年富山県生まれ。早稲田大学理工学部在学中から劇団に所属、多くのバイトを経験しながら女優に。現在はタレントとしても活躍中。NHK総合「スタジオパークからこんにちは」(月~金曜日13:27~)“特ダネ”ハンターとしてレギュラー出演中のほか、BS日テレ「ふたり道」(木・金曜日21:54~)、ロート製薬「メンソレータムAD乳液」CMなどが好評。
    公式HP http://www.lotstaffs.jp/mioyoneda.html
    ブログ「ダジャレの品格」 http://blog.livedoor.jp/mio1215yoneda/

  • 取材・文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本多数。自著には女性の生き方をテーマにしたものが多く『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)、映画『音楽人』の原作など。
    ブログ『森綾のおとなあやや日記』 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

ヘアメイク:茂手山貴子 http://moteyama.com/
撮影:萩庭桂太