「派手可愛い!」がピンチを救う
岡田薫
- Magazine ID: 1348
- Posted: 2013.11.12
30歳という節目の年に、自らのネイルサロンをオープンした岡田さん。その裏には、「爪をキレイにすることで、女性を幸せにしたい」という思いとともに、「ネイルの世界に新しい風を吹かせたい」という意気込みもあった。
「18歳からネイルサロンに通っていて、日本のネイルサロンはなんだか敷居が高いなぁと、ずっと感じていたんです。お店のスタッフがあまりにもシックな服を着ていたり、インテリアが豪華過ぎたり。それでは、お客さまのほうが逆に気をつかって疲れてしまう。なので私は、お客さまがもっとリラックスできるよう、店内をビーチのコテージのような雰囲気でカジュアルに。スタッフの制服もTシャツとデニムにして、ネイルをもっと身近な存在に感じてほしいと考えました」
ネイルサロンに通っている末端の1人として、そのコンセプトは大いに賛成。身分不相応にマダム扱いされてしまうと、むしろ居心地が悪くなってくる。だが、オープン当初、サロン経営者として岡田さんはまったくのシロウト。芸能界時代にコツコツと蓄えた貯金を1円残らずつぎ込み、まさに“賭け”の境地で理想のサロンを作ったものの、毎日、駅前でチラシを配っても、お客さまは誰1人来てくれない。
「現実はそんなに甘くなかったんですね。連日、お客さまがゼロなのに耐えられなくて、うちの祖母、両親、父、弟、叔父にまでサロンに来てもらったくらいです。まさか父の爪を赤やピンクに塗るわけにはいかないので(笑)、両手両足の爪をポリッシュ・ケアして磨かせてもらったり。でも、そんな奮闘も虚しく、オープンから3カ月後に、このままでは倒産するという羽目になってしまって……」
そこで岡田さんが取った手段は、サロンで提供しているネイルのデザインを、もう一度、見直すことだった。それまでは一般的なデザインを幅広く揃えていたが、それでは既存のサロンと同じで、自分らしさはアピールできない。
「だったら、いっそ思い切りデザインを絞ってしまおう、と。大阪出身の私らしく、コンサバな東京のサロンではあまり見られない、キラキラのストーンや目立つアートをふんだんに取り入れた、大人のための派手可愛いデザインに限定したんです」
この切り替えが見事にヒットした。女性に人気のポータルサイトで「Lagoon」のデザインが紹介されるやいなや、予約の電話がじゃんじゃんと。その後もグングン客足が伸び、5年たった今では超のつく人気サロンの仲間入り。
「“派手可愛い”デザインのおかげで救われました。今でも毎月、新しいデザインを更新するために、様々なストーンやネイルグッズを扱っている問屋さんにも、しょっちゅう買い付けに行っています。問屋さんにまめに足を運べば、隠れヒット商品もいち早くゲットできますからね」
自分の手掛けたサロンが大勢の人に愛されるようになり、今は毎朝、起きるのが楽しくて仕方がないという。好きな仕事で忙しいのは、むしろ快感。そんな岡田さんがたまのオフに決まって出掛ける場所がある。では、明日はそこに一緒に行ってみよう。
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出演:岡田 薫(おかだ・かおる)
1978年生まれ。大阪府出身。ネイルサロン「Lagoon」オーナー。10代の頃から芸能活動を始め、テレビドラマ、バラエティ、映画、CMなど各メディアで活躍。テレビ番組『世界・ふしぎ発見!』ではミステリーハンターとして世界の秘境の数々を訪れた。2010年にネイルサロン「Lagoon」を東京・恵比寿にオープン。「大人可愛い」ネイルデザインを提供し、顧客には歌手、人気モデル、タレントも。また、オリジナル化粧品「Lagoon Organics」の商品企画開発も始め、第一弾商品としてオーガニックヒップケアクリームの販売も開始。
岡田薫さんオフィシャルブログ http://ameblo.jp/kaoru-okada/
「Lagoon」公式サイト http://www.lagoon-nail.jp/
「Lagoon Organics」公式サイト http://www.lagoon-organics.com -
取材・文:内山靖子
ライター。成城大学文芸学部芸術学科卒。在学中よりフリーのライターとして執筆を開始。専門は人物インタビュー、書評、女性の生きかたや健康に関するルポなど。現在は、『STORY』『HERS』(ともに光文社)、『婦人公論』(中央公論新社)などで執筆中。
ヘアメイク:えのもとみゆき(BLANCO)
撮影:萩庭桂太