パーティーで、ウェディングドレスみたいなドレスを着て目を引いていたのがイ・チェヨン。『太陽のあなた』『愛をたずねて三千里』など、テレビドラマシリーズでも有名な女優だ。最新映画は『風と共に去りぬ!?  THE GRAND HEIST』。

「いつもはもっとカジュアルな格好をしているんだけど、釜山国際映画祭は大きなフェスティバルだから。クラシックさ、エレガントさ、純粋さを表現したかったの」

　20歳で壇国大学の「ミス・ユニバーシティ」に選ばれた。壇国大学は、創立1947年だが、ここ10年、有名な芸能人を続々輩出している。

「演劇と映画を専攻していました。ミス・ユニバーシティは注目されるひとつのきっかけにはなりましたね。でも私は演技で勝負しなくちゃと早くから決めていました。顔やスタイルが優れている女優は他にいっぱいいますからね。それよりも私は温かい心が底からわき上がってくるような演技をしないと、と」

　これまでは強い女性を演じる役が多かった。

「すましていたり、ちょっと病んでいたり、怖い女だったり、兵士だったり。シリアスな役が多かった。だから、今はコメディに出てみたいの。ラブコメもいいですね（笑）。すべての監督からオファーが来て、自分で監督を選べるくらいのすごい女優になってみたいです！」

　日本にも度々来ている。アニメやファッションが好きだと目をくりくりさせる。

「ジブリのアニメが好き。ヒューマニズムがあって、イメージ自体が心をとらえて離さない。宮崎駿さんが辞めるらしいけど、彼だけが作ってるわけじゃないだろうから、何らかの形でジブリの新しい作品をまた観られるといいですね」

　好きな日本映画では『Love Letter』、そして『嫌われ松子の一生』を挙げてくれた。

「女性なら誰でも笑って泣くでしょう？　ああいう映画に出たいわ」

　いきいきと、強い意志を隠さない。魅力的な女性だった。

（取材・文：森 綾／撮影：萩庭桂太）